チヌ釣り名手・大知昭ヒストリー 【第16回】ジャパンカップクロダイ釣り選手権に出場

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大知昭ヒストリー ロゴ

チヌフカセ釣りの名手・大知昭(おおち あきら)さんのチヌ釣りのルーツや数々の栄冠を手にしたトーナメントへの取り組みなどを連載で紹介! ※レジャーフィッシング九州に掲載された内容を一部変更して掲載しています。プロフィールなどは2014年当時のもので現在と異なるものもあります。

ジャパンカップクロダイ 竿を曲げる大知昭

大知昭/シマノインストラクター、マルキューアドバイザー、金龍鉤スペシャルプロスタッフ、キザクラフィールドテスター

念願の大会に出場!

2003年から2009年まで開催されたシマノ主催のチヌ釣り大会『シマノ鱗海CUP』は2011年より『シマノジャパンカップ クロダイ釣り選手権』へとグレードアップされた。

「ジャパンカップは磯、アユ、投げとそれぞれとても歴史と権威がある大会。チヌがそこにくわわったことはすごくうれしかったし、なんとしても第1回は(優勝を)獲りたいと思ったね」

これまで色々な大会で初代王者の栄冠を数多く手にしてきた大知さんだけに、この大会に対しても並々ならぬ想いがあった。

大会は沖縄から東北まで全国で開催された地区大会(11大会)を勝ち上がった23名に、シード選手3名(2009年開催の第7回鱗海CUP全国大会上位入賞選手)を加えた26名が大分県佐伯湾一帯で、初代王者を目指して熱い戦いを繰り広げるというもの。

出場者は大知さん(第7回鱗海CUP2位で第2シード)や第7回鱗海CUP優勝者(第1シード)でジャパンカップグレの覇者でもある藤原実浩選手、第3位シードの村岡哲也選手、シマノモニターの内海通人選手、大知さんの実息・大知正人選手、小松和伸選手ら多くの強豪選手がそろった。

「このメンバーで競い合えるというのも楽しみだったし、このメンバーの中で勝ってこそとも思ったね」

大知さんは「必勝」の想いとともに広島から現地入り。実は道中は「どんな釣りになるか、どんな大会になるか珍しく緊張してたよ」とのこと。緊張という言葉に無縁な大知さんにしては、珍しいエピソードだ。




雨の中、予選第1試合開始

ジャパンカップクロダイ 準備中

大会前の準備風景。誰しもが初代王者の栄冠を狙っている

記念すべき第1回大会だったが、タイミング悪く台風15号が日本列島を通過し、その影響で前日から強い雨が続いていた。そんななか、予選リーグが開始。

第1試合、大知さんは下津井予選3位の選手と対戦。

「大雨の影響があってチヌの動きは少し鈍かった感じ。でも水潮に強いキビレは動きがいい。そこに狙いを絞ったよ」

大知さんは良型のキビレを釣り上げて2,050gをマーク。きっちりと初戦で勝ちポイントを獲得した。前記した強豪たちもきっちりと勝利を上げて並んでくる。

「2試合目がキーになると思った。1試合目で負けている選手は死にものぐるいでくるだろうし、勝っている選手もここで勝つと一気に優勝へ近付ける。でも勝っていると、気をつけているつもりでもどうしても気が緩んでしまうものなんだよ。自分は勝ちポイントを見ないで2試合目に挑んだね」

ジャパンカップクロダイ お落ちの釣果

1回戦の大知さん。キビレを狙って釣果を得て勝利!

ジャパンカップクロダイ 藤原

シマノジャパンカップグレも優勝している藤原実浩選手も勝利

第2試合 あきらめない釣りで逆転勝利

雨がどんどん強くなるなか、組み合わせを変えて予選リーグの2試合目がスタート。大知さんは強豪・内海選手との対戦だった。どちらも第1試合で勝利しているので、ここで勝ち上がれば決勝進出へ一気に近づく大切な試合だ。

ジャパンカップクロダイ 竿を構える大知

強烈な雨の中、シマノ磯モニターの内海選手との対戦

開始後、すぐに竿を曲げたのは内海選手。これが40cmを軽く超える良型。いきなりのヒットにその後も連発するかと思われたが、ここから2人ともノーヒットが続く。

ハーフタイムとなりポイント交代。ここまで釣果ゼロの大知さんは、内海選手が釣った沖向きではなく、左側の少し奥まった浅いワンドを狙いはじめた。

「正面は内海くんがあれだけ狙って1匹しか出なかったから厳しいと思った。小型でもいいからヒットが期待できる浅場を狙ってみたんだよ」

しかし、さらに強くなる雨が大知さんの釣りを狂わせはじめた。浅場を狙うとアジやフグがヒットしてくる。そこで練りエサをハリに付けたのだが、浅場へ遠投するたびに練りエサがハリから外れてしまう。それも3投連続で外れることも……。

普段は超遠投でもこんなことはないのだが、雨で練りエサが水を含んで軟らかくなりすぎたようだ。フタ付きのサシエケースに入れているが、雨が強すぎて取り出すたびにどうしても水が入ってしまう。練りエサが外れるのでエサ盗り覚悟でオキアミを刺すことが多くなる。

それでもなんとか大知さんは小型のチヌを2匹キャッチ。これが検量対象の25㎝あるかどうかは検量時に測らないとわからない。また、検量サイズでも2匹を足したところで内海選手のチヌにははるかに及ばない。

小型チヌもその後は沈黙し、2選手ともノーヒットが続く。さすがの大知さんもこれでは打つ手がないかと思われたが、ここですんなりあきらめるわけはなかった。

「あと1匹釣るから!」

終盤に報道陣に大知さんはこう宣言したのだ。しかしチヌを追加できないままラスト7分。ここで大知さんが、雨に濡れて柔らかくなった練りエサの中で、「ここだけ少し硬かった」という部分をハリに付けた。この練りエサは、遠投でも外れることなくポイントへ着水。この1投がこの試合だけでなく、今大会の重大な1投となった。

大知さんのそのヒットは静かなものだった。アワセを入れるとそのままリールを巻いて寄せてくる。本人もエサ盗りがヒットしたのかと思ったそうだが、あと5mほどまで寄ってきたところで魚が止まった。そして反転したかと思うと、大知さんの持つ『鱗海スペシャルRB』1号が大きく弧を描いた。

「あんなのは初めてだったよ」

ベテラン大知さんが語るほど急に引きが変化した。驚きながらも伝わる引きからチヌと判断した大知さんはすかさず臨戦態勢へ。時間的に見てもこのチヌをバラすと勝てるチャンスは限りなくゼロに近くなる。

緊張感あふれるシーンだが、大知さんのやり取りに力みはなかった。いつも通りのスムーズなやり取りで再びチヌを寄せてきて玉網へと収めた。この時点で残り時間は5分。ギリギリまで勝負を捨てず、全力を尽くしたからこそ手にできた1匹。このチヌは内海選手のチヌとほぼ同じサイズに見える。

「内海くんのチヌと同じくらいか、ちょっと小さかったけど、最初に釣った2匹がキープサイズだったら勝ち。でも測ってみないとわからなかったから緊張した」

試合終了のホイッスルの後、大知さんと内海選手は笑顔で健闘をたたえ合った。 そして港にて検量。大知さんの小型チヌはいずれも26cmで検量対象! その結果、約600g差で大知さんが2勝目をあげた。見ていた誰もが驚いた劇的な勝利。大知さんは、長年競技をしていた経験からこんなことを思ったという。

「この勝ちは次につながる勝ちだ。このまま優勝を狙えるかもしれない……」

ほかの試合では藤原選手、大知正人選手もきっちり勝利をおさめて2勝目をあげた。

ジャパンカップクロダイ 竿を曲げる内海

2回戦、先制したのは内海選手

ジャパンカップクロダイ 釣り上げる大知

最後まであきらめないのが大知さんの流儀。ラスト5分でチヌをヒットさせた!

決勝戦への父親としての想い

初日は第2試合で終了。翌日の第3試合に向けて、その夜に開かれた懇親会の席でここまでの成績が発表された。

2勝をあげているのは藤原選手、大知さん、大知正人選手の3名だけ。暫定順位は1位大知正人選手、2位藤原選手、3位大知さんとなった。そして翌日の第3試合の組み合わせが発表されると驚きの声があがった。なんと、暫定2位の藤原選手と暫定1位の大知正人選手がぶつかり合うことになったのだ。

そんななか、大知さんは周りと少し違う感情だったという。それは長年の夢だった「全国大会の決勝で息子との顔合わせ」まであと少しのところまで来ていたからだ。

「父親としての思いがこみ上げていたんだろうね」

大知父子による決勝対決も見たいがもちろん藤原選手らほかの選手も簡単に負けるつもりはない。第3試合への期待が膨らむなか、初日の夜が更けていった。

ジャパンカップクロダイ チヌを持つ大知正人

実息の大知正人さんは初日を終えて暫定1位につけた

ジャパンカップクロダイ 集合写真

第1回シマノジャパンカップ クロダイ釣り選手権出場者

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釣りぽ編集部
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釣りぽ編集部スタッフです。編集部ならではの企画記事や大会リポート、釣行リポートなどをお届けします。大会リポートについては大会関係者から送られたものを「釣りぽ編集部」として掲載していることもあります(※本文最後に報告者を記載)。
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