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四国西南部、宇和島港からは28kmほどの沖合に浮かぶ日振島は、西日本屈指の磯釣りフィールドとして知られています。豊後水道にあり、黒潮の影響も受ける日振島周辺は、潮通しがよく、冬場も比較的温暖で、フカセ釣りのターゲットはもちろん、投げやルアーで狙える魚も多数生息しています。
なかでも人気が高いのは、これから本格的なシーズンを迎えるグレで、磯の数(ポイント)が多いのが魅力。数多くの競技会が行われることでも知られており、シーズンには多くのフカセ師が足を運びます。
トーナメンター・山口美咲さん(シマノフィールドテスター)もそんな一人で、日振島はホームグラウンドといえるフィールド。まだ水温が高くシーズン前とも言える10月下旬、進化した新生『ファイアブラッド』を手に良型攻略に挑みました。
小型が多いなかでサイズアップに成功
10月29日、山口さんは「はまざき渡船」を利用して日振島へ向かいました。グレシーズン開幕前の不安定な時期で、当初は2日間の釣りを予定していたが、前日は荒天で中止。情報は乏しく、手探りの状態での竿出しとなりました。
5時45分頃に出船。同船者が降りた後に日振島本島北岸の「ソンシの丘」へ渡礁しました。
「秋磯とはいえまだ水温が高くてコッパグレも多い時期です。苦戦するかもしれませんがなんとか良型を釣りたいです」と山口さん。手にした竿は『ファイアブラッド グレ クォーターマスター 1.2号-510』(シマノ)。
準備を整えて7時10分に実釣を開始しました。
早々にウキに反応が出て、山口さんは小型のグレをキャッチ。海水温が高いこともあり、オヤピッチャ、スズメダイといったエサ盗りの活性も高いようです。
「コッパが多いですね」という状況のなか、サシエをローテーションしながら反応をうかがいます。仕掛けやマキエの投入位置、投入のタイミングを変えるなど、山口さんは微調整を繰り返して30cmクラスのグレを釣り上げました。
その後も潮やグレの動きなどフィールドの状況を注視しながらヒットパターンを探し出す山口さん。マキエを投入したときに海面に出る波紋が小さいため、周囲に大きなグレはいないようだという。
「波紋が出るというのは、魚の活性が高いからです。潮の状況など、いいサイズのグレが入ってくるタイミングがくると思います」
そのチャンスをうかがっていると、アワセを入れた山口さんの持つ『ファイアブラッドグレ クォーターマスター』が大きく絞り込まれました。良型の強烈な引きをしっかり受け止めると、主導権を与えることなく速やかに寄せてきます。巧みなロッドワークで玉網に収めたのは40㎝級の良型グレ! 待望のサイズに笑顔がこぼれました。
「小型が多いときはダンゴ(練りエサ)が効きますね」と山口さん。その後も良型を含む数匹のグレを手にして磯替わりすることになりました。
NEW『ファイアブラッドグレ』の特徴と愛用のモデル
この日、山口さんが使用した竿は、シマノ『ファイアブラッドグレ クォーターマスター1.2号 510』。このモデルを選んだ理由、新しくなった竿の特徴を聞きました。
「510(5.1m)という長さはこのモデルだけです。トーナメントでは手返しよく釣りをすることが多いのですが、この長さだと非常に扱いやすいです。また、今回のファイアブラッドはすごく軽くなっていますので、1日使っていても疲れにくくなったと実感しています。前回のモデルと比較すると、魚が掛かったときに3番、4番が曲がり込みやすく、魚の引きを吸収してくれるような作りになっています。先調子ではありますが、しっかり竿に乗せてやり取りできますので、魚をバラすことも減りました。この『クォーターマスター』は、竿尻にファイティングサポートグリップが採用されています。魚を掛けたときに肘をしっかり竿尻に当てた状態でやり取りできるので、竿がブレることなく安定します。ファイアブラッドといえば燃えるようなデザインが特徴的ですが、これまでにも増して闘志みなぎるような格好いいデザインに仕上がっていると思います」
ロッドのパワーを活かして良型攻略
見回りに来た「はまざき渡船」の船長からの提案で磯替わりすることに。次に上がったのは「才蔵鼻の奥」。山口さんは竿を出すのは初めての磯とのこと。準備を整えて釣りを開始すると即座に反応があり、小型のグレを難なくキャッチ。最初は小型やエサ盗りがヒットするなか、サイズアップ目指して攻め方を調整していきました。
徐々に型のいいグレが混じるようになり、30分ほどしたところで気持ちよく竿をしならせて良型を釣り上げました。
「今のはダンゴ(練りエサ)で釣りました。このエリアはコッパやアジなどのエサ盗りも多いです。そんなときにダンゴを使うと、エサ盗りのいる層を突破して、その下にいる型のいいグレを狙うことができます。とくに水温の高い時期は、ひと回り、ふた回り大きなサイズが期待できますので、便利なサシエです」と山口さん。
その後もポイントの状況、魚の反応などを見極めながらムキ身でも良型を追加。サシエについてはダンゴが有効とはいえ、そればかりでは魚に見切られることがあるといいます。そのためローテーションしながら、魚の喰い、エサの盗られ方に応じて使い分けることが重要となります。
ここで少し喰いの渋い時間が続きました。手前を中心に探るもエサが盗られる状況が続いたため、ここで山口さんは遠投に切り変えることに。そして、かなり沖に着水した仕掛けがなじむと待望のアタリ。アワセを入れると「クォーターマスター」が大きな弧を描きました! いいサイズなのは傍目にもわかりますが、安定感のあるやり取りでしっかりと魚をコントロールし、力強く寄せてきます。玉網に収まったのは44cmのグッドサイズの本命。
「よく太っていますね! この時期にこのサイズがでたら上等だと思います」と、山口さんも納得の1匹。型がいいうえに水温が高くてよく引く時期ですが、「あっという間に寄ってきましたね。クォーターマスター、強いです」とロッドのパワーを再確認したようです。
最大46cmまでのグレを連発!
「沖でいい型のグレがかたまっているみたいですね」
その言葉を裏付けるように、山口さんは時合を逃さない手返しのいいアプローチで40㎝オーバーのグレを連発! 立て続けに竿がきれいな弧を描きましたが、新しい『ファイアブラッドグレ』はマッスルカーボンの搭載によりパワーと操作性が向上、竿自体が強くなり曲がったときの復元力で魚を浮かせてくれる感じだという。いいサイズばかりだが魚を難なく誘導して速やかに取り込んでいきました。
順調に釣果を伸ばしていく山口さん。ただ、沖は水深があるものの手前は浅くてシモリが多いというポイントの特性上、どうしてもハリスがシモリに当たってしまうそうです。
「シモリが多くてどうしてもやり取りしているとハリスが当たってしまいます。ガリガリいいながら上がってきましたが、やっぱりハリスは傷ついています。擦れてささくれた状態になっても切れない。ハリスが強いですね」と山口さん。使用しているハリス『リミテッドプロトーナメントモデル(フロロ)』の強度を再確認。良型をバラすことなく確実に手にしているのも、このハリスの性能が大きく影響しているそうです。
実釣で使用した道糸とハリス
そして迎えた納竿間際。いいアタリをとらえるとこの日一番の強烈な引きが山口さんの手元に伝わりました。大きく美しいカーブを描く『ファイアブラッドグレ クォーターマスター』。根に張りつかれたものの即座に対応して引きずりだすと、重量感のある走りをしっかりと受け止めてロッドのパワーを活かして寄せてきます。
山口さんが手にしたのはこの日の最大魚となる46cmの本命! 劇的なエンディングとなりました。
日振島はこれからグレの本格的なシーズンを迎えます。信頼できるタックルを手に、本命との駆け引き、やり取りを存分に楽しんではいかがでしょうか。