夏の投げ釣りの人気魚であるキスがハイシーズンを迎えています。エサ釣りのイメージが強いキスですが、実はルアーでも狙って釣ることができるのです! 今回はルアーフィッシングはもちろん、魚の生態にも詳しい梶本林宏さんに、マイクロジグ&極小ブレードを使ったキスのメタルゲームを紹介してもらいました。
キスはルアーで狙って釣れます!
今回、紹介させていただくのはシロギス(以下キス)のメタルジグゲームです。
瀬戸内のキスは早ければ5月、遅くとも6月には本格的なシーズンに突入するエリアが多いです。キスは軽めの天秤仕掛けを使ってチョイ投げ程度で手軽に釣れるので、お子様連れのファミリーフィッシングにもおすすめのターゲットと言えます。小気味いいアタリと引きで楽しませてくれるだけでなく、ご存知の通り食べても非常においしい魚ですよね。
そんなキスはスリムで可憐な見た目とは裏腹に、実は貪欲な肉食性の魚なんです。ルアーの釣りが成立することも知られていて、小さなカニを集団で襲って爪や足をバラして食べる光景も目撃されています。タイラバやライトゲームなど、ルアー釣りの外道としてキスを釣ったことのある人は意外と多いはずです。
ただ、キスはゴカイのような多毛類を捕食する場合は、端から吸うように食べる習性があるため、意外とジグヘッドにワームというスタイルでは掛かり難いのが実状です。理由としては、吸い込んでいくうちに偽物だと感じ、ハリに到達する前に吐いてしまうことが多いからです。
となると、ひと口目でハリを吸い込ませる必要があるということです。それならワームの尻尾のほうまでハリを通しておけばと思うかもしれませんが、それではワームの動きが不自然になり口を使わせるまでに至らないのです。なかなか警戒心の強い魚なんですね……。
そこでマイクロメタルジグの出番と言うワケです。
マイクロブレードがキスを誘惑
そうは言っても市販のメタルジグはアシストフックが頭側に付いているだけの物や、それに加えてお尻側にトレブルフックが付いている物が大半ですので、キスの食性に合わせて少しカスタムする必要があります。
前述したように端から吸うように捕食する傾向、追い食いする傾向が強いキスをフッキングさせるには、メタルジグのお尻側に吸い込みやすいマイクロアシストフックを付けることがキモになります。その際、個人的にはフロント側のアシストフックが付いているメタルジグの場合は、できればそのまま残しています。ただし、フロントフックがライン絡みの要因になり度々トラブルが発生するようであれば外します。
そしてキスは砂を巻き上げて動くモノや光るモノ、音に興味を示して寄ってくる好奇心の強い魚であることから、マイクロブレード『ワンタッチピコブレード』(東邦産業)を2個付けておくようにしています。
ブレード2個付けの理由は、メタルジグ本体以外のフラッシング効果はもちろんのこと、ブレード同士の接触音で誘き寄せる目的と、加えてバイトマーカーとしての役割に貢献しているという見解が得られたからです。また、音による効果は日が暮れた後でも発揮してくれる点でも欠かせないと言えます。
さらにメタルジグのお尻側にブレードを付けると、お尻側に水の抵抗があることでアクションからの着底時において、追い食いや尻尾側から捕食してくる魚に対して常にハリのある側(メタルジグのお尻側)を向けることができます。これらのことから、キスが吸い込めるサイズのマイクロブレードは、この釣りにおいてなくてはならないパーツと考えています。
ブレードやアシストフックのセット例。ブレードは2個付けがおすすめです!
筆者が愛用している『ワンタッチピコブレード』。
使用するタックルとメタルジグ
続いてタックルセッティングですが、8フィート前後で10g程度まで操作できるロッドに、PEラインの0.4~0.6号、フロロカーボンリーダーの4~6ポンドを組みます。ライトゲームの少し強めくらいというイメージでいいです。
個人的にはPE0.6号にリーダーは6ポンドが安心できる組み合わせだと感じています。砂底でも平らではなく砂漠のように砂山があり、ラインが砂山をかすめると結構傷むので、ラインブレイクを極力避けるためにもそうしています。
また、この釣りでは外道としてマゴチやヒラメ、エソ、小型根魚、アジやサバなど小型回遊魚、ハゼ類、スズキなどさまざまな魚がヒットしますので、状況に合わせてラインの強度を選ぶことも大事ですね。
使用するメタルジグは比較的細めのシルエットで3~10gの範囲をポイントの距離や魚のサイズ、水深により使い分けしますが、飛距離がいる場合はタングステンのメタルジグもおすすめです。基本的にはアジやメバル用のメタルジグでOKです。
個人的にはジャクソンの『ギャロップベイビー』や『メタルエフェクト』、『飛びすぎダニエル』がお気に入りで、シマノの『メタルショットTG』も常に用意しています。
キス以外にもいろんな魚が釣れる!
基本的な釣り方
タックルが揃ったら、後は遠浅のサーフを歩きながらキスの群れを探して釣っていくだけです。キスは群れで行動していることが多いのですが、ルアーで釣る場合は1匹釣ると群れが散ってしまう傾向があるので、1匹釣ったら次の群れを探すという認識でいいと考えています。
基本的な誘い方は、キャストしてジグが着底したらボトムを意識しつつ5~10㎝ほどの高さまで跳ねさせながら引いてきます。5回ほどこれを行い着底したら5秒ほど待つという感じのアクションで誘っていきます。着底して待っていると「ココンッ!」というアタリが出ますので、そこで直ぐにアワせて掛けていきます。
良型になると引きがシャープで結構スリリングです。
キスのルアー釣りは日中がメインですので視界もよく、サーフだと比較的安全性も高いので、ちょい投げのエサ釣りも併用しながらファミリーで楽しむのもいいのではないでしょうか。また、夏場の日中に膝まで波打ち際に浸かりながらというのもいいですね。
今年の夏はぜひ一度、砂浜の貴婦人キスを光り物で誘惑してみてください!