毎年恒例となった宿毛湾のチヌ開き釣行。今年も宿毛湾が大好きな中西毅さん、村上千春さん、そして地元のエキスパート・岡崎拓さんの3名が宿毛湾の磯に降り立ちチヌを狙った。取材時は潮が流れずチヌの活性も低く苦戦を強いられたものの、50cmを頭に多くの40cmオーバーをキャッチすることに成功した。
右)中西 毅(なかにし つよし)/広島県在住。G杯チヌ2連覇の輝かしい実績を持つチヌフカセの名手。がまかつ、マルキユー、東レ、ソルブレのサポートを受ける
中央)村上 千春(むらかみ ちはる)/広島県在住。チヌのフカセ釣りをメインに紀州釣りやメバル釣りも楽しむ。ヒロミ産業、ゴーセン、マルキユーのサポートを受ける
左)岡崎 拓(おかざき ひらく)/宿毛市在住。チヌ&グレのフカセ釣りを得意とし、その他の釣りにも精通。釣研、オーナーばり、東レのサポートを受ける
好ポイント「ダルマ」で良型のグレとチヌ
2019年2月8日の午前7時、「宿毛だるま夕日フィッシングクラブ」さんにお世話になり、宿毛湾のなかでも好ポイントのひとつ、「ダルマ」に渡礁。
中西さんと村上さんは大島向き、岡崎さんは裏側の大月町向きに釣り座を構え、各人2B〜3Bのウキを用いた半遊動仕掛けをセットして実釣スタート。
ファーストヒットは岡崎さん。開始して10分ほどで37cmのグレを仕留め、立て続けに40cmオーバーのチヌもキャッチ。ウキ下は1本半、サシエは上層にいるグレを避けるためにオキアミボイルを使ってヒットにつなげた。
その15分後、大島向きの20mほど沖を探っていた中西さんのウキがスッと沈んだ。取り込んだのは、これも40㎝オーバーのグッドサイズ。
「これまでハリスにガン玉を均等に打って仕掛けを立てて釣っていたのですが、アタリが出なかったのでガン玉の位置を上げてハリスをフカせ気味にしたんです。すると一発で食ってきましたよ。それにしても今日は潮の動きが鈍いですね〜」と中西さん。
中西さんの言葉通り、潮はほとんど流れず、チヌの活性も低い模様。その後、磯替わりする11時30分までチヌはノーヒットに終わってしまった。
「ぶどう園下」でパワーファイト
次にやってきたのは、湾奥の「ぶどう園下」。ここは足元から一気に深くなっているポイントで、水深は7〜8mほど。潮の動きは相変わらず緩慢だが、「ダルマ」と比べてエサ盗りの動きは活発。
マキエをしっかり撒きつつ探ること15分、中西さんがさっそく竿を曲げた。強烈なファイトを制して取り込んだのは、45cmのきれいなチヌ。
「宿毛湾は50㎝オーバーの大型を含めてチヌの魚影が濃いのはもちろん、それ以上にチヌが元気。とにかく引きが強いのが魅力ですね。足元まで寄せて浮かせても、そこからさらに抵抗するからパワータックルを使っていても油断は禁物ですよ」
やがて、潮止まりが近づくとエサ盗りがおとなしくなり、サシエが残りはじめた。中西さんはマキエの投入回数を抑えて「サシエを見せる釣り」にシフト。
そして、『くわせオキアミ 食い込みイエロー』でチヌを追釣。その後も40cmクラスのチヌがポツリポツリとヒット。
「時刻は14時30分。もうそろそろ宿毛湾名物の50㎝超のチヌがヒットしてもいい頃なんですけどね〜。やはり潮が影響しているのでしょうか?」と、中西さんは仕掛けやサシエをローテーションしながら釣り続ける。
やがて迎えた16時、中西さんのタックルをちょっと借りて釣っていた村上さんにチヌがヒット。掛けたときは45cmクラスかと思いきや、10秒ほど経ったころからものすごい勢いで走り出した!
「絶対にラインは出しちゃダメやで」、「止めろっ〜!」と中西さんと岡崎さんから激が飛ぶなか、必死に走りを止めようとする村上さんだったが、そのまま何もさせてもらえず根ズレでラインブレイク。
「あっ〜!! ラインを出したら根ズレでバレると頭では分かっていたけど、どうすることもできなかったぁ……(涙)」と村上さん。
中西「今のは相当デカかったなぁ〜。60cm近くあったんじゃない?」
岡崎「最後の最後にドラマが待ってましたね。このリベンジは明日果たしましょう!」
釣ったチヌはリリース
大藤島「扇バエ」でチヌ連発
迎えた翌日。
前日は潮が動かなかったことから、この日は潮がよく通る釣り場をチョイスすることに。船頭さんと相談して選んだのは大藤島の「扇バエ」。
海に向かって右から中西さん、岡崎さん、村上さんの順で釣り座を構えて8時に釣りを開始。
ファーストヒットはこの日も岡崎さんで、開始早々に釣れたのはまたしてもグレ。
「今シーズンはグレが多いんですよ。磯によっては50㎝オーバーも出ていますよ」と岡崎さん。
そして、0号ウキにG5を2つ打った軽い仕掛けでシモリ際を狙っていた村上さんにヒット!
足元のハエ根に注意しながら40㎝クラスのチヌをキャッチすると、村上さんがパターンをつかんでチヌを連発! そして3人が同時に竿を曲げてトリプルヒットも達成!
全員がパワフルな引きを楽しみながら「マッスルー!」を連呼(笑)。和気あいあいと釣りを楽しんだ。
3人同時のトリプルヒット
「桐島の東の鼻」で年無しヒット
見回り船が来たところで、「デカいチヌは水深が深いところにいる気がするんですよ」との中西さんの提案で磯替わりすることに。
北西風がかわせて、なおかつ水深がある「桐島の東の鼻」に磯替わり。
釣りはじめてしばらくはサシエが残って返ってきていたが、徐々にサシエが残らなくなってきた。そして13時過ぎ、0号ウキにG3を3段打ちにした沈め釣りで中西さんが48cmを2連発!
中西「サイズアップ! やはり深場狙いが正解でしたね。村上さん、あとは頼みますよ!」
村上「え!? わ、分かりました!」
13時45分、沈め釣りで探っていた村上さんが大きくアワセを入れると、ロッドが大きな弧を描いてしなった! 縦横無尽に海中を泳ぎ回るチヌを相手に、必死でロッドをためて対処。
一進一退の攻防の末に浮かせたのは、これまでで一番のサイズ! すかさず中西さんがサポートに回りランディング。
計測するとジャスト50cm!
あまりの力強い引きに村上さんは「もう手が限界です」とうれしい悲鳴を上げた。
その後もチヌは釣れ続き、そのどれもが40cmオーバーの良型揃い。そして村上さんがマダイを釣り上げたところでストップフィッシング。
今釣行では潮が動かないうえに冬の釣りが効果を発揮するという状況で、例年のように50cmオーバーが連発! とはいかなかったが、40〜50cmのチヌの数釣りが楽しめた。
宿毛湾では年間を通じてチヌが狙える。チヌ釣りファンの方はぜひ、宿毛湾に釣行されてみてはいかがだろう。期待を裏切らない釣果が待っているはずだ。そして、ヒットしたマッスルチヌの引きの強さに驚くことだろう。
宿毛湾のチヌの釣り方は仕掛け、エサは次ページで紹介!