
チヌ釣り名手・大知昭さんが4月29日に宇和島市津島町の「うえむら渡船」に釣行して大型チヌを狙った。「うえむら渡船」はグレ釣りがオフシーズンとなる春にのみ湾内でのチヌ釣り渡船をするが、短期間の釣りながら毎年ロクマルを含む巨チヌが釣り上げられている。
大知さんの弟・大知豊さんが毎年ここに通って大型チヌを釣り上げていて、今年も大型のチヌやグレを釣り上げた。大知さんもテレビの撮影でシーズン初期に入ったが不発だったため、大知豊さんと一緒に再度の挑戦となった。
大知さんが降りたのは湾内にある磯。満潮時には独立磯となるが、潮が引くと地磯とつながる。手前は浅いが10mほど沖が先から急激に落ち込んでいるチヌが居そうな地形。実績のある釣り場で、今期には大知豊さんが50cmオーバーのグレも釣り上げている。

大知昭の大型チヌ狙いタックル
この日は北からの強い風が吹いていて、風裏となるこのポイントでも舞い込む横風の影響で上潮が滑って釣りづらい状況。そんな中で釣りを開始した大知さんのタックルは、竿が『鱗海アートレータ 1.5号』で道糸はPEライン1.5号(リミテッドプロ G5+ PEサスペンド)でハリスは3号(LIMITED PRO トーナメントモデルフロロ)!
根やロープなどが多い宇和海で、ロクマル(60cm以上のチヌ)を狙う時に大知さんが使うハリスは2.5号〜3号。そのハリスの強度に合わせたPEが1.5号。ナイロン道糸だとハリスに合わせて太い2.5号や3号となるので遠投性やウキの通りが悪くなるが、PEラインだと細い1.5号でも十分な強度があるそうだ。

渡礁時は満潮で足場が狭く、潮位が少し下がって釣りやすくなってから釣り開始。潮位が下がるのに合わせて前に出て釣りをしていくが、この日はたまにイソベラがヒットするぐらいで全体的に活性が低い感じ。
それでも大知さんは「チャンスは来る!」と信じて集中して釣り続ける。使用するウキは工房大知A&Yの最重量モデル『大知ナブラⅡ』の000号。この000号は新たにラインナップに加わったモデルで、ウキがギリギリ浮くぐらいに浮力を抑えられている。
大知さんの仕掛けだと、仕掛けが馴染んだところでウキがゆっくり沈む設定となる。ウキのパイプには大知ウキの特徴のガラス管が使われているため糸通りが良く、ウキが沈みながら道糸もウキの中を抜けていくため、大知さんの狙う海底(深ダナ)にいち早く付けエサを届けてくれるそうだ。

アタリは道糸の動きや穂先でとるが、伸びがないPEラインを使うと小さなアタリも確実に伝えてくれる。
本命のアタリがないまま干潮近くに。潮が引いて磯の先のゴロタ浜が出てきたところで、本命らしきアタリが。食い込まずにアワセられなかったが、「このアタリはチヌ!」と感じた大知さん。ここからさらに集中力を上げていく。
そして、ついに大知さんの竿が大きく曲がった! 「この引きはチヌ」と確信して、強い引きを竿をためて耐える大知さんだったが、しばらくのやり取りの後に穂先が跳ね上がった……。
回収した仕掛けを見ると、ハリのチモトが切れていた。大知さんはエサを付ける度にハリスをチェックしている。この時はチヌがヒットする前にフグがチモト部分を噛んで傷つけてしまったようだ。
残念がる大知さんだが、チヌの時合が来たと確信。ハリスを交換してすぐに釣りを再開した。
やわらかく練り込んだ練りエサ『食い渋りイエロー』+『高集魚レッド』(マルキユー)を『勝負ちぬ ネリエ&コーン 1号』(金龍鉤)に付けて投入。
仕掛けが馴染んでウキがゆっくり沈んでいく。干潮を過ぎて下潮が右にゆっくり動き出し、風によって滑る上潮と同調するようになった。そして、道糸と穂先で小さなアタリを捉えた大知さんがアワセを入れた。
同時に大きく『鱗海アートレータ』が曲がり、引きの重さから瞬時に大型だと読み取った大知さんはリールのレバーを使って道糸を送り出した!

これは直前のバラシのようにフグにハリスを傷つけられている可能性があることと、チヌがカケアガリに沿って走った場合に落ち込みの角でラインが擦れるのを防ぐため。適度なテンションを掛けながら道糸を送り出すことでチヌを沖に走らせ、弱らせて浮かせて取り込む作戦だ。
同時に海水に入って少しでも落ち込みの近くでやり取りをする。これは釣行前に釣り場の状況を大知豊さんに聞いた時から考えていたことで、そのために磯ブーツ(長靴タイプ)を着用していた。
無理をしないようにチヌを誘導しながらのやり取り。チヌが思ったよりも右に走っていったが、そこから切り替えして左に泳がせる。その途中でも何度か強い引きにラインを送り出して対応。そして自分の正面で浮かせてきた。
海面に大きな魚影が見えた! そこからもチヌは抵抗を見せたが、焦ることなく対応して玉網入れに成功した。
「やったぞー!」と笑顔で声をあげる大知さん。取り込んだのは57cm、3.2kgの大型チヌだった。



この日の納竿時間は15時半。まだ30分以上あったが、この1匹で満足した大知さんはここで納竿とした。
兄弟で57cmと56cmをキャッチ
迎えの渡船には、別の磯で釣っていた大知豊さんが乗っていて大知さんを見るとガッツポーズ! 大知豊さんも56cmの大型チヌを釣り上げていた。このチヌは厚みがあり、重さは大知さんのチヌよりも重い3.3kgだった。


活かしバッカンに入れて港まで運んだ2匹の大型チヌは検量後に放流。2匹とも元気に泳いで戻って行った。
うえむら渡船では今期のロクマルが釣り上げられた。来期のチヌ釣りシーズンも大いに期待できそう。大知昭さん、豊さん兄弟も「来年も釣行してロクマルを狙う」と力強く宣言していた。
大知昭さんの動画で公開中!
宇和海での大知昭さんの大型チヌ釣行は、大知昭さんのYouTubeチャンネル『大知昭のチヌ釣りLife』で公開中。アクションカメラによる大知さんの視線での投入から取り込みまでも公開されているので必見!
《釣行メモ》
釣行日 | 2025年4月29日 |
潮汐 | 大潮 |
満潮 | 06時25分 |
干潮 | 12時41分 |
(宇和島) | |
渡船 | うえむら渡船 |
《エサ》


大知昭 おすすめタックル
大知さんが使用した竿は『鱗海アートレータ 1.5号』(シマノ)。ただ、普段は1.5号を使うことがない人が年に1〜2回大型チヌを狙って宇和海に釣行するなら、2025年に発売になったコストパフォーマンスの高い『鱗海』(シマノ)の1.2号か1.5号がおすすめとのこと。
無理に細いチヌ竿やパワーのあるグレ竿で狙うよりも、チヌ調子(鱗海調子)の『鱗海』を使う方が柔らかいエサの投入やチヌの引きに対応してバレにくいなどのメリットが大きいからだ。