12月中旬、チヌフカセ釣りの名手・塩田孝吉さんが、高知県宿毛湾に釣行し60cmオーバーの巨チヌ=通称ロクマルを釣り上げました。
宿毛湾と言えば大型チヌが狙える魅力的なフィールドで、塩田さんのホームグラウンド。ここではロクマルを釣り上げた時の釣行の模様とあわせて、使用したタックルや釣り場の状況について紹介します。
チヌの聖地・宿毛湾というフィールド
宿毛湾は高知県西部(四国西南部)に位置しています。
宿毛湾の磯は起伏に富んで根が荒く、全体的に浅い場所が多いのが特徴。沖はシモリ混じりの砂地が広がっており、チヌは磯伝いに回遊するとも言われています。年間を通して水温が高くてエサも豊富。そのためチヌの成長は早くてコンディションは抜群。「マッスルチヌ」と呼ばれる筋肉質な魚体は、サイズ以上の強烈な引きで釣り人を翻弄します。
水質がクリアで浅いため、ハリ掛かりしたチヌはシモリを縫うように横方向に突っ走るのですが、前述したように磯周りの起伏が激しいうえに魚のサイズが大きくて引きが強いので、やり取りにも相応の技量が求められるフィールドと言えます。
全体的に浅くてシモリが多い宿毛湾。景観のよさも魅力のひとつです
過去の釣行で塩田さんが攻略した57㎝の大型チヌ(釣り場は「ぶどう園下」)。宿毛湾は大型チヌの聖地です。
大型チヌを攻略するためのタックルセレクト
浅くてシモリの多い地形的な特徴や大型のチヌがヒットすることから、タックルセレクトには万全を期す必要があります。単にパワーのあるタックルで挑めばいいという単純なことではなく、意図したアプローチを実現するための操作性、トラブルレスといった性能にも配慮することが大切です。いかに食わせるか、そして、いかに取り込むか、タックル個々の性能はもちろんのこと、トータルのバランスも重要となります。
今回、塩田さんが選んだタックルは、竿がシマノ『鱗海アートレータ』の1.5号530、リールがシマノ『BB-Xハイパーフォース』の2500番。60㎝オーバーにも対応できる組み合わせです。
もちろん、道糸とハリスの性能も重要で、塩田さんもとことんこだわっているアイテム。道糸には自身がプロデュースしたファゾム『ブルーモデル』の2.5号、ハリスには同ブランドの『レベル』2.5号をチョイスしました。
「私は普段からアワセが強いのですが、『ブルーモデル』は衝撃吸収力に優れているのでトラブルもなくしっかりアワセが決まります。耐摩耗性にも優れた強いラインですので、根の荒い宿毛湾でも安心して使用することができます。糸グセがつかなくて穂先にも絡みにくく、しなやかで扱いやすい道糸です。ハリスに使用している『レベル』も耐摩耗性と結節強度に優れた非常に強いラインです。しなやかで衝撃も吸収してくれるので、大型チヌをかけても安心してやりとりできます」と塩田さん。
パワーのある大型チヌが掛かる可能性も高いだけに、信頼できるタックルで狙うことが前提となります。
愛用のリールにはファゾム『ブルーモデル』の2.5号を巻いている。強さはもちろん、トラブルがなく、操作性に優れているので安心して使用できます。
ハリスは『レベル』シリーズを使用。根が荒く、大型が有望な宿毛湾では、耐摩耗性に優れる強いラインは必要不可欠です。
釣行当日の仕掛け
荒天のなか桐島「蛇の首」へ渡礁
塩田さんが釣行したのは12月15日。前日は北西の風が吹き荒れて船が出せず、当日も上がれる磯がかなり限定される状況でした。西田船長と相談して「桐島の蛇の首ならなんとか行ける」とのことで、天候を考慮して7時過ぎに出船し、磯に上がりました。時折、西寄りの強風も混じる状況で、油断しているとクーラーがひっくり返るほどの突風にさらされるようなタフなコンディションとなりましたが、なんとか竿は出せます。マキエを打って様子をうかがいつつ準備を整えて、実釣を開始しました。
釣り始めてすぐは30cmクラスのグレが連発する状況でした。まだ水温が19℃もあり、エサ盗りを含めた他魚の活性も高いようです。宿毛湾ではおなじみのオオモンハタも釣れ続く状況でした。
開始して1時間ほどが経過した頃、エサ盗りが消えるタイミングが出てきました。それまでアタっていたベラやフグなどが姿を消し、明らかに状況が変わりました。
変化を感じ取った塩田さんの集中力も高まります。そして9時過ぎ、待望のアタリを捉えると、塩田さんの操るロッドが大きな弧を描きました。傍目にもグッドサイズであることがわかりますが、力強い引きに冷静に対処する塩田さん。慎重に玉網に収めたのは、54cmの見事なチヌでした。
狙いの「年無し」(50cmオーバーの大型チヌ)が釣れてひと安心ですが、さらなる大物を目指して釣りを再開しました。
マキエには『M.S.P(S)レッド』や『ムギコーンスペシャル』も混ぜ合わせました。M.S.Pはチヌが良く反応して、必ず加えるそうです。
60.5cmの巨チヌを攻略!
その後は潮が引いてきたため、タナを2ヒロに変更しました。前述した通り強風の影響で釣りができるのは正午まで。残された時間は1時間30分ほどになっていました。仕掛けを投入し、30mほど沖を流しているとウキが一気に消し込まれました。アワセを入れてしっかり掛けたのですが、根掛かりかと思うほどで、びくともしない重量感。その後、一気に右へ走り出したので、リールを巻かずに耐えてやり取りを開始しました。
数々の大物を仕留めている塩田さんですが、圧倒的な重量感と暴力的な引きに桁違いのサイズであることを確信。シモリや根など地形的に右へ走られるとまず取り込めない状況のなか、巧みなロッドワークで右へ走るのを阻止します。寄せてはラインを出され、手に汗握る慎重なやり取りが繰り返されました。並の大物ならしばらくやり取りすれば浮いてくるのですが、最後の最後まで姿を見せず抵抗を繰り返します。
なんとか砂地のある左手の湾のほうに魚を誘導し、ゆっくりと寄せてくると巨大なチヌが姿を現しました。塩田さんが手にしたのは、巨大で重厚なボディ、圧倒的な存在感を漂わせるビッグサイズ。計測すると60.5cm・4.1kgというモンスタークラスの本命でした。
「獲れてよかった! このライン、そして竿のおかげですね」と塩田さん。追い求めていたサイズだけに、記録、記憶に残るうれしい1匹となりました。
その後は再びエサ盗りの活性が高くなった。満潮を迎える夕方に本命が狙える潮でしたが、西の風が強くて続行できる状況ではなかったため予定通り正午で納竿することになりました。
大型チヌの聖地・宿毛湾は、塩田さんが釣り上げたようなロクマルも期待できる魅力的なフィールドです。パワーのある信頼できるラインを使って、自己記録更新を目指してはいかがでしょうか。
《釣行メモ》
釣行日 | 2024年12月15日 |
潮汐 | 小潮 |
満潮 | 06時25分 |
干潮 | 12時09分 |
(片島/宿毛市) |
《使用タックル》
竿 | 鱗海アートレータ1.5号530(シマノ) | |
リール | BB-XハイパーフォースC3000DXG(シマノ) | |
道糸 | ブルーモデル2.5号(ファゾム) | |
ハリス | レベル2.5号(ファゾム) | |
ウキ | 大知A&y 3B(工房大知A&Y) | |
ハリ | 勝負ちぬ ネリエ&コーン 3号(金龍鉤) |
ファゾム(fathom) ナイロンライン 道糸 サスペンドタイプ BlueModel 2号 150m 日本製 釣り糸 磯釣り 船釣り