最も日本的な輝きと美しさを失わない魚
日本の美しい食の原点とは何であろうか。
わたくしは冬食べる真鯛の御刺身と思うのです。紅の美しさとほの甘いうまみ、炊き立てのご飯に薄口の野田醤油をくぐらせたお刺身の一切れを乗せて山葵で頂く、得も言われぬ旨さ。
この美食の原点を釣りに船に乗って行ってきました。
12月10日、岡山港の海遊丸さんからサビキ真鯛で3人の御客さんと行ってきました。出船の午前6時、港は真っ暗なうえに暖冬の影響で濃霧がすごい。タクシーの運転手さんも車のライトを頼りに出船場所に向かってくれたのですが、「右が海、左が建物ですかね」という事で潮の香でめざした先のポオっと浮かんだ明かりの元に海遊丸はありました。
児島湾を抜けるまで手探り状態、職漁船も遊漁船も緑と赤の航行灯をつけたまま白い幕の中を微速で進んでいきましたが、霧は沿岸だけだったのか、目的の島が見えた時点で島の肩からポンと朝日が。今日は凪のいい天気になりそうですねえ。
ポイントについて、「ハイ 35m」となったのです。朝日を前にしてシャクリ機にかけた長い軟調竿がサビキを引き上げる姿は、この季節の風物詩。いい感じですよ、この写真。
しばらく3人の様子を見させていただきましたが肝心のアタリはなし。時計を見ると8時45分の潮止まりまであと5分。「そろそろ」と一人つぶやいた先で「前で食ったよ」と右大ドモの常連さんが教えてくれました。
右ミヨシの方の軟調竿がシャープに曲がって真鯛の食った事を伝えてきます。続いて左の方の軟調竿にも食ってこれまた綺麗な円を竿が描いています。と、わたくしの竿にも「食ったよ」と船長が教えてくれたのですが、まず画撮り優先。ミヨシのお二人の上げた真鯛を撮らせていただきました。
一荷とシングルが2回続いて、それはもういい感じで船中笑みがあふれております。真鯛の方は25cmから時々40cm超と比較的小型の部類に入るものばかりですが真上から見るとまんまる、良く肥えております。パパっと撮ってダッシュで自席の左大ドモに戻って取り込みをしました。
いい引きをしていたであろうは42cmのハネで下の方ついていたのが22cmの真鯛。これも良く太っておりました
と、一巡したところで食いが止まりました。船長はもう一度流しなおしたり周辺の反応のでるポイントを探ってくれるのですが、魚探にポンポンと反応が重なって出るわりにはアタリに繋がりません。再びやる気のある群れにあたったのが2度の大移動をした後でした。
トモ方向に流れたサビキに次々と派手なアタリが出だしたのが11時頃でして、ハネに続いて42cmの食べごろの肥えた真鯛をわたくしは手にできました。
そして圧巻は40cm、36cm、33cmの3連発すべてオレンジのチョグリ(チョクリ)に食っていました。船中でも大変よく当たっていて、伸び悩んでいた右大ドモのベテランさんにも2枚目の40cmの真鯛が来ていました。
そして再び長い沈黙、でしたが、右大ドモのベテランさんがサビキに食った小アジを餌に泳がせを敢行。見事、60cmを越えるハマチ2本を当てて、穏やかな真冬の1日のラストを締めてくれました。
14時30分「これで揚がります」と船長アナウンスで沖揚がり。水温がまだまだ高めで海の中は真鯛が口を使う適温ではなかった1日でしたが、終わってみれば船長の好ポイント選びが光りそれぞれに安定した釣果に恵まれました。
真鯛船は99%船長の経験と研究が1日を左右すると思います。ベテランの船長と地道な研究、良い船、が日本の美しい食の原点に巡り合える1日に出会える入口と思います。是非一度、岡山・海遊丸、ご乗船御試しあれ。
《釣行メモ》
釣行日 | 2023年12月10日 |
潮汐 | 中潮 |
満潮 | 09時44分 |
干潮 | 15時46分 |
(宇野) |
◯利用遊漁船/海遊丸(かいゆうまる) 090-3171-1621
岡山県岡山市中央卸売市場前より出船
《使用タックル》
竿 | 中通し竿 MG-30-360 ETERNAMBIT | |
リール | It’s ICV200(ダイワ) | |
道糸 | PE2号 200m | |
仕掛け | 海遊丸オリジナル真鯛サビキ | |
オモリ | ホゴ 50号 |