以前に紹介した「水温が冷たいとオキアミは白くなる?」を検証した時、もうひとつの疑問も検証していました。
それが
「チヌ用練りエサは海中で溶けるのか?」
オキアミの検証で使用した水槽を使って実際にやってみました。
○検証した練りエサ
チヌフカセ釣りでよく使用される練りエサ5種類を用意。今回は練り込んだりせずに、取り出してそのまま針に付けて検証しました。
水槽内は水流が無い止水状態です。
○実験方法
海水と同じ塩分濃度で水温(23℃と13℃)の異なる2つの水槽を用意。その中に練りエサを入れて、溶け具合を確認しました。
※水温差による大きな違いは出なかったので、23℃の結果のみを報告します。
○検証結果
『食い渋りイエロー』『高集魚レッド』『荒食いブラウン』(マルキユー)
10分経過
10分間では見た目の変化はほとんど無し。そのまま30分間まで延長してみました。
30分後
全体的に色が白っぽくなったものの変化がないので、仕掛けを上に軽く引っ張ると『高集魚レッド』と『荒食いブラウン』は表面から細かな粒がこぼれ落ちました。水流のある海中ではもっと早く粒が落ちていくと思われます。
左の『食い渋りイエロー』は表面が溶けかけているかな? というぐらいでした。
40分後
その後も大きな変化が無いため、40分後に取り出し。指で潰してみると、3種類ともに芯は固く、この状態では針から落ちなさそうでした。
『めっちゃ喰う! オキアミ』(ヒロキュー)
30分後
表面が非常になめらかな練りエサで、30分経過しても表面がじわっと溶けるぐらいで変化はほとんど見られませんでした。
『生ミック』(趣味娯楽社)
今回用意した練りエサの中で、もっとも柔らかい『生ミック』。10分経過後に軽くゆすってみると、濁りをともないながら粒がこぼれ始めました
○検証結果 まとめ
水流の無い環境下では、練りエサが溶けてハリから外れるのにはかなりの時間を要することがわかりました。
今回実験した5種類の中では、『生ミック』→『荒食いブラウン』&『高集魚レッド』→『食い渋りイエロー』&『めっちゃ喰う! オキアミ』の順で溶けやすいように感じました。
実際の釣りシーンでは潮流などがあるので、この検証よりも溶けやすくなると思われます。ただ、溶けるのに時間が掛かる練りエサが早くに無くなる場合は、エサ取りなどが多いと判断できそうです。
「溶けやすい」or「溶けにくい」からダメというわけではなく、状況に応じた使い分けの参考にしてください。
追加:自分で硬さを調整/大知昭さんの場合
この検証結果を、練りエサを使ったチヌ釣りを得意とする名手・大知昭さんに伝えたところ、下記のコメントをくれました。
「マルキユーのこの3種類の練りエサは硬めだから、取り出したまま使うと食い込みが悪いことがあるよ。だから、自分は、海水や『チヌにこれだ!』を加えて好みの硬さに調整して使うんよ。柔らかい=溶けやすいエサがいいときもあれば、超遠投ではそれより硬めの方が良いこともある。この3種類の練りエサは、少し硬い分、自分で好みの硬さに調整できるから応用範囲がめちゃくちゃ広くて使いやすいよ」
大知さんが釣り開始前に水分を加えて硬さを調整した練りエサがこちら。
水を加えて全体になじませるように練り込んでいくと、引っ張って伸びるぐらい柔らかく粘る練りエサになります。エサ取りが多かったり遠投する時は元の練りエサを加えて少し硬めにしたり、逆に冬場で食い込みが浅い場合はもっと柔らかくすることも。
自分で調整することで、練りエサでの釣果をもっと伸ばせるとのことでした。