2017年版 北海道のタイラバ総括(沖五目編)/北海道

釣歴30年、得意なジャンルはキスの投げ釣りと船釣り全般です。特に、最近は全国各地でタイラバで遊んでます。メインフィールドは北部九州及び北海道です。海、淡水問わずいろいろな釣りにチャレンジし、特に、海釣りにおいては北海道のタイラバの普及、レバーブレーキを使用したスピニングタイラバの普及等に力を入れてます。

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2017年版 北海道のタイラバ総括編

今回で今年の北海道の釣り納めとなったので、2017年度版《北海道のタイラバの総括編/沖五目(水深40~50m前後)編》ということで書いてみます。ディープタイラバ及びインチクについては別の機会に紹介します。

まず、北海道のタイラバをする人が勘違いしていると思われるのは、タイラバのシステムはタイをメインに釣るものであって、対象魚が根魚メインの北海道で九州や本州の要領と同じように中層を狙うやり方をやっても根魚が釣れるわけがないということです。

これはタイラバは水深=ヘッドの重さというおなじみの物を北海道でも同じように紹介するところもあります。この点が一番の間違いで、北海道にはタイがほぼいないので根魚メインということは、あくまで底を取ることが大切ということです。これは、先ほどの水深=ヘッドの重さが当てはまらないということになります、いかに底付近を集中的に叩けるかが肝要です。

さらに、北海道ではタイラバはまだ非常にマイナーであり、基本的にはエサ釣りの方と同船が普通であり、船長の流し方としてエサ釣りの方の仕掛けの入り方に合わせるのが普通です。関東周辺の沖釣りの船の人たちと違い、エサ釣りの人の仕掛けはひと昔以上前のコンセプト(太いPE、太い仕掛け)が主流なことが多く、当然オモリも重いもの、120号~150号(水深40~50m程)を使ったりするので、タイラバのヘッドも重い物を使わざるを得ません。タイラバのみの出船なら軽いものが使用できますが、基本的に前述したようにタイラバやジグなどのみで人が集まることはレアケースです。

私が執筆を依頼された北海道のメディアでは、この点を踏まえ基本的にはヘッドは重いものが必須「80g~150g程度まで準備するとどんな状況にも対応できる」と紹介し、当然竿も150g程度まで背負える竿でないと使い辛いと紹介していますが、一部のメディアでは「ヘッドは水深の1.5倍(例:水深40mで60g)までで良い」とか「リーダーはナイロンが標準」(←本州や九州でタイラバをしている人からするとあり得ないと思います)とか「ドラグは緩く」など、ちょっと初心者の方が勘違いをすることを書かれています。誤った認識をもたれないよう今回は詳しく紹介します。

ナイロンラインに関しては、過去に私もハイブリッドのナイロンなどをリーダにしてテストしましたが、伸びるやらバラシは増えるやらオマツリしやすくなるなど、マイナス面の方が多く感じられました。

タイラバ以外ではナイロンの利点もあり、泳がせ釣りやエサ釣りなどではフロロで作った伸びのない仕掛けにクッションゴムのようにナイロンのショックリーダを使うと魚の食い込みが良くなり、ヒット率及びキャッチ率が上がります。また、尺ギスサイズの大型キスを砂浜から釣る時も、力糸をナイロンにするとキスが違和感を感じずそのまま飲み込んでくれます。(※ちなみに、過去に釣った多くの25cm以上のキスは小型のボケジャコを食っていることが多く、この辺りのサイズからベイトが変化していると思っています)

ドラグに関しては、緩い人はたいていラインブレイクしてます。これはヒットするのが根に向かう魚ばかりなので当然です。

最初に本州や九州のタイラバとは違うと述べましたが、魚を狙う際の着眼が違うだけで、システム自体は普通のタイラバとほとんど同じです。

竿について、柔らかい竿はエゾメバルには良いですが大型のソイを釣るにはパワー負けします。また、潮が速い時などに竿がしっかりとヘッドの重さを支えることができず、ラインに角度がついて、オマツリの原因及びその復旧の際に問題となることもあるので、硬い竿の方が良いです。エゾメバルは竿が硬いとバイトを弾くことがありますが、ソイはほとんどありません。竿先を水平より下に向けるだけで回避できます。

具体的に、チャリコに向くような柔らかい竿は、使い辛いです。150gが背負える負荷はなくとも、少なくとも120gぐらいまでは背負えないとエサとの同船の場合はかなり辛いです。

リールは基本的にはハイギアのベイトが北海道の沖五目(水深50m程度)では一番使いやすいです。ローギアも良いのですが、糸フケの回収が間に合わないと根掛かりが発生することもあるのでシマノの200サイズのハイギアのベイトが無難です(300サイズのものでも問題なしです)。

ちなみにローギアのベイトは、ボートロックや水深が20m前後のカレイ釣りに絶大な効果を発揮しますので、持っていても損はしません(北海道のカレイは大きいので、パワーのあるベイトの方が頼もしく感じます)。

糸の太さは、根魚がメインなので少なくともPE0.8号以上、リーダーはフロロの3号以上が無難です。根を攻めることもありフロロでないとリーダーとしての機能を果たしません。

時々、PE0.6号とかのウルトラライトタックルを使う人もいますが、そういう人はたいてい魚が根に入ったりでラインブレイクしています。このような人たちは、バラシて魚が警戒して食わなくなることを知らないようで、船長に怒られることもあります。クエのような大型の根魚の場合はいったんばらすとそのポイントは2週間ぐらい使えないそうです。警戒して穴から出てこないそうで、クエほどでなくても、クロソイなどでもそれぐらい警戒させるので注意しないといけないということです。これはネリゴ(カンパチ)と同じような感じだと思います。バラすと周りの仲間に警戒信号を出す点では。

ヘッドの材質はタングステンでも良いのですが、特にソイの場合は根が荒いとこに住んでいることが多いので、高いタングステン製を使って根がかりすると財布へのダメージが大きい方にはお勧めしません。鉛製でも問題なく釣れます。

タイラバをしている方は当然ご存知とは思いますが、タングステンと鉛では巻き抵抗が違うので、材質を変えた場合の感覚をしっかりと把握していないとうっかり根掛かりしますのでご注意を。

ヘッドの重さは基本水深の1.5倍から3倍ぐらいまでを使います。水深=重さ(例:40mの水深に対して40gのヘッド)は基本的に成立しません。前述したように軽いヘッドを使うと根魚は釣れません。

エゾメバルは基本的に浮いているので軽いヘッドが有効な時もありますが、ソイは基本的に沖の根では底ベタなことが多く、九州にいるマハタのようにある時期に水深の半分ぐらいでベイトを追い回して泳ぎ回るようなことはありません。(ソイ類も追い回しますが、マハタなどのように極端に浮いたりはないです)

私の場合、基本的には水深がどうであれPE1号のタックルには100gのヘッド、PE1.2号のタックルには120gと「PEの号数×100g」としています(その時の潮に合わせて20~30g重い物を使用することもあり)。

九州のタイラバでもずっとこのようにやってきて、北海道に来た当初は軽い(60~80g)のでやっていたのですが、あまりに流されることが多く、重たいヘッド(100g以上)に変えてやるようになってストレスなく、かつ釣果も安定しました。

スピニングもベイトも私は同じ重さでやりますが、基本的にベイトの場合は潮の影響を受けやすいので、状況によってはPE1.2号でスピニングタックルなら120g、ベイトは150gとすることもあります(スピニングよりも少し重く)。私のタックルはスピニング、ベイトともに200gまで使えますが、年に1回ぐらいは200gの出番が少しあります。この時はほとんど周りの人も釣りにならない状態ですが……。

タイラバのカラーは、オレンジや赤などシルエットがはっきりしているものが実績があります。黒も試してみましたが効果がありました。チャート系などの色や薄い色はなぜか食いが悪いことが多く、何度か検証しましたが、やはり定番のオレンジや赤などのカラーには及びませんでした。

フックセッティングは普通のタイラバと同じで良いですが、トリプルフックシステムにすると前述したように荒い根に住むソイなどを狙う時は根がかりが多発します。したがって、2本針にして、フッ素加工の針を使うとソイ等に加え、ショートバイトの多発するエゾメバルなどのヒット率も上がります。

この際、フックにダイワの『紅牙フレアリーフ』などのアジング用の小型ワームを付けると、スカート及びネクタイとフックが同調しヒット率があがります。特に、緑のワームを付けるとより多くの魚(主にエゾメバル)がヒットします。

フックにワームのセッティングは過去に釣り仲間の船で検証した際、付けていない仲間の釣果に対して、付けた私の釣果は倍以上のものでした(スピニングタックルだったのも一因かもしれませんが)。フックに何もないよりは、エサ玉でも魚皮でもついていた方がいいと思います。ちなみにエゾメバルは、緑の東北メバルサビキなどを使うとものすごく釣れます。

親針に太いワームを付けてエビラバ状態にする人もおりこれでも釣れます。ただタイラバのバランス的には状況によってはちょっと使い辛いかなと思います。

過去に長崎の島原半島の先端の加津佐漁港から出ている久真丸さんに通っていた頃に生きたエビをタイラバに付けて冬の活性の低いマダイを釣る方法を教えてもらいました。この親針にワームは活性の低い魚にも有効なのかなと思っています。加津佐漁港沖の天草と島原半島の間の海域は非常に潮流の流れが速くかつ底の根も急峻で非常に根掛かりが多い場所ですが、ここのマダイやアラカブ(カサゴ)は身が締まっていて美味しいです。

最後に北海道のソイ類は水温が1桁前半になると食いが渋くなります。沖でサクラマスが釣れる頃は、水温が極端に低く食いが渋いです。今年の実績としては、1月中旬頃に水温低下が来て、タイラバにほとんど反応せず、エサ釣りの底ベタに置いたままが効果的な方法でした。一昨年は、積丹半島で2月にタイラバをしたところやはり水温が低く、ソイが釣れたのは潮が変わって水温が上がってからでした。

本州や九州の冬のタイラバパターンのイメージを覆すぐらいインパクトがあるのが北海道の冬のタイラバですが、前述したように1月初旬までは多分普通に釣れると思います。特に、12月末頃は昨年も50cm前後のソイがタイラバによくヒットしたので、年内のタイラバは問題ないと思います。どうしてもやりたい人は防寒の処置をした方がいいと思います。

基本的に、北海道のタイラバのシーズンは4月中ごろぐらいから1月初旬ぐらいまでかと思います。寒い時期は低水温で魚の活性が低いのでエサでやり、底付近で漂わせる方法が一番無難に魚を釣れます。