エサ盗りを遠投でかわす
チヌフカセ釣りの名手・大知昭さんが広島湾に次ぐ第2のホームグラウンドという「御荘湾」(愛媛県愛南町)に釣行した。
大知さんは、「夏の御荘湾は大型が狙える時期」と考えている。産卵を終えて一時的に食いが落ちていたチヌたちが体力を回復して再び釣れるようになるからだ。暑いので敬遠しがちだが、「ロクマルがヒットする確率が高い時期!」と断言した。
この日、大知さんが渡った磯は渡船場から近い渚(砂利浜)。昨年に60cmを釣り上げている実績ポイントだ。しかし、渡船が近づくと波打ち際から5mほどのところに藻が2mほどの幅で前面に生えていた。藻は海面まで伸びているので、取り込み時にはチヌがこの中に入ってしまう。
場所を変えるのかと思ったが、大知さんは「藻の沖で浮かして寄せてくるし、藻に入られてもこの時期の藻は切れるから大丈夫!」と気にすることなく渚に降りた。
釣り始めると予想していた以上にフグなどのエサ盗りが多かった。色々と探ってみると沖にはフグが少なかったため遠投で攻めていく。しかし、沖ばかりを集中的に攻めるとフグが沖にも出てしまう。大知さん投入点を変えたり、しばらくマキエを入れずに食事をとったりと変化をつけて釣りをしていた。
開始1時間ほどで風が弱まったタイミングを見逃さずにまずは45cmほどのチヌを釣り上げ、その後も午前中に数匹のチヌを追加したがどれも中型サイズ。狙いの50cmオーバーが出ない。
14時を過ぎて大知さんが釣座を移動。
横に少し岩場が有り、5mほど離れたところから沖のイカダに向かってロープが伸びている。藻もこれまでの場所よりも沖まで生えていて取り込みが難しそうに思うが、ここでも「チヌを誘導すれば大丈夫だよ!」と気にしないのが大知さん。
そして言葉通りに大型チヌをヒットさせ、藻やロープをかわして取り込むのも大知さんだ。
釣座を移動してすぐにヒットしたのが54cmの年無しチヌ。やはり藻の中に入られたが、少しラインを緩めてチヌに走らせて出したり、藻を切らせたりして取り込んでみせた。
ヒットしたのは遠投ポイント。水深もあるが、遠投性能が配合エサをブレンドしてよく練り込んだマキエは沖の深ダナにしっかりとチヌを集めてくれた。出船前の配合エサの選択や作り込みから、大知さんの釣りはスタートしているのだ。
続いてヒットしたチヌもかなりパワフルな引きで右側のロープへと走るが、大知さんは竿をめいっぱい曲げながら止めて、頭を反対方向に誘導。危なげないやり取りで取り込んだのはこの日の最大魚55cmだった。
その後、知り合いの釣り人に教えながらヒットさせたのは53cm! 大型チヌを3匹ヒットさせて17時に納竿した。
《マップ》
※マップの釣り場の大まかな場所です。釣れたポイントとは異なります。自己責任の元、十分に注意して釣行してください。
《使用タックル》
竿 | 鱗海スペシャル 1号 | シマノ |
リール | BB-X TECHNIUM C3000XG S RIGHT | シマノ |
道糸 | 炎月 G5 0.8号など(PEライン) | シマノ |
ハリス | ファイアブラッドEX FLUORO HARD-TIDE 1.7号 | シマノ |
ウキ | 大知ウキGP 00号 | 工房大知 |
ハリ | 勝負ちぬ ネリエ&コーン 2号 | 金龍鉤 |
大知さんはPEラインをサルカンにダブルクリンチノットで直結する(ウキの中をPEラインが通る形)。糸の抜けも55cmのチヌを藻の中から抜いたように強度的に問題ないとのこと。
ナイロンラインよりも極細で比重(約1.3)があるPEラインは次のようなメリットがあるそうだ。
・軽めの仕掛けでもだれでも遠投できる
・やわらかい練りエサも遠投できる
・小さな前アタリなどをとらえられる
・風や潮の抵抗をうけにくい