編集部スタッフが、釣りにまつわる疑問を「実験(ジッケン)&検証(ケンショウ)」する『ジッケンショー』。
今回のテーマは、
【国産と海外産のアミエビの違いについて調べてみた】
こんにちは、編集部のりょーたです。サビキ釣りやフカセ釣り、カゴ釣り、船釣りなど、海釣りには欠かせないエサのアミエビ(ジャミ)。
十数年前まではアミエビといえば三陸沖で獲れた国産物が中心でしたが、不漁や石油高によるコスト増、食用としての需要が高まるなどして価格が高騰。その結果、中国や韓国といった価格の安い海外産のアミエビが多く流通するようになりました。
我々釣り人からすると、安いエサで魚が釣れればいうことはありません。
しかし、海外産のアミエビは「水分が多くてアミエビが少ない」とか「魚やビニール片、糸クズなどの異物が多く混入している」といった声を耳にすることも。私も買った中国産のアミエビの中に20cmほどの魚やビニールが大量に入っていたことがあります。
そこで、国産と海外産のアミエビではクオリティにどれほどの差があるのか検証してみました。
アミエビとは?
高い集魚力効果を発揮するアミエビ。海釣りにはなくてはならないエサです。オキアミと同じく、エビではなくプランクトンの一種です。
釣具店ではブロック状で売られており、その見た目から「レンガ」とも呼ばれます。主に1/4切(約4kg)、1/8切(約2kg)、1/16切(約1kg)の3サイズで売られています。
国産アミエビと海外産アミエビ
検証に使ったのは、国産のアミエビ(左)と海外産(中国)のアミエビで、サイズはともに1/16切(約1kg)。
購入した釣具店では、国産が340円で海外産が320円(以前は価格に大きな開きがありましたが、最近は海外産の値上がりと、在庫処理による国産の値下がりで価格が近づいてきているとのこと。※2023年6月の香川県の価格です。アミエビの価格についてはこの先もさまざまな要因によって変動する可能性がり、また地域によって価格差が大きいのであくまで参考値です
検証/国産アミエビと海外産アミエビの違い
以下の内容で違いを検証してみました。
①水分量の違い
②身質や色の違い
③ニオイの違い
④混入物の違い
⑤釣果の違い
まずはカチンコチンに凍ったアミエビを解凍することから開始。日なたで約3時間放置し、完全に解かして水分を抜きます。なお、購入時の重量は国産が1,017g、海外産が982gだったため、国産のブロックを少し削って982gで重さを統一しました。
※本来は直射日光が当たらない場所で解凍するのがベストです
検証① 水分量の違い
まずは解凍時に出るドリップ(汁)の量を比べてみました。左が海外産で右が国産アミエビです。
見るからに海外産のほうが水分が多く、測ってみると国産と比べて109gも多いという結果に(アミエビの量が少ないといことです)。やはり海外産のアミエビには水分が多く含まれていることがわかりました。
なお、ドリップの色にも違いがあり、国産のドリップは色が濃く黒っぽく、海外産は薄くピング色でした。
検証② 身質や色の違い
まずは色。国産のアミエビ(左)は赤みが強いのに対し、海外産はやや白みがかっています。そして身質にも違いがあり、国産のアミエビはしっかりした身質で1匹1匹の形がはっきりしています。一方の海外産のアミエビは水っぽく、グチャッと潰れているものが多かったです。
検証③ ニオイの違い
アミエビといえば何とも言えない強いニオイが特徴で、これが魚を寄せる大きなポイントになっていると思われます。ニオイを測る臭気測定器などは持ち合わせていないため、私の鼻でチェック!
嗅ぐ前は国産でも海外産でも変わらないのではと思いきや、国産のアミエビのほうがクサ…いや、ニオイが強い! 先輩のテツさんにも嗅いでもらいましたが、「こっち(国産)のほうがクサイわ」と言っていました。
検証④ 混入物の違い
海外産のアミエビといえば、さまざまな不純物が入っていることで知られています。
今回は小イカが18パイ、謎の魚の頭部が2つ、そして木クズが入っていました。一応、国産のほうも調べてみましたが、混入物はゼロ! ここまでの検証結果を見ると、クオリティの差は歴然ですね。
これだけイカが入っていると、これに反応して集まる魚もいるかも。でも、サビキ釣りだとカゴに詰まることもあるのでアミエビだけの方が使いやすいのは間違いないです。
検証⑤ 釣果の違い
最後は「釣果に違いが出るのか?」です。実釣場所は高知県香南市にある手結港。サビキ釣りで小アジや小サバを狙ってみました。
その結果は・・・活性が高すぎたのか、釣果に違いはナシ! どちらのアミエビを使ってもよく釣れました。
検証結果
検証を通して、改めて国産と海外産のアミエビではクオリティに大きな差があると実感しました(海外産でもいいものはあると思いますが)
。粒が立っててアミエビの量も多い、そしてマキエカゴを詰まらせる恐れのある混入物がない(少ない)国産のアミエビはさすがですね。
価格に大きな開きがあったときは海外産のアミエビを使うメリットが大きかったのですが、ここ最近の価格差の縮小を考えると、安心して使える国産アミエビを選択するメリットが勝っているように思いました(個人的な感想です。地域による価格差でも結果は違ってくると思います)。