「泊浦」大型グレ&チヌポイント
フカセ釣りの聖地とも言える四国西南部。なかでも高知県大月町の泊浦エリアは、磯にもよるがほぼ1年を通してチヌとグレの両方が狙えるうえ、釣れればサイズがデカイのが特徴だ。そんな泊浦に阿波釣法の名手、江頭弘則さんがシーズン終盤のグレを追って釣行した。
江頭 弘則(えとう ひろのり)/徳島県在住。シマノジャパンカップ磯(グレ)で5回の優勝を誇り、数々の大会やトーナメントで輝かしい実績をおさめるフカセ釣りの名手。徳島EFC顧問
『イソ リミテッド』で良型グレ
2019年3月2日の午前6時半、「大月遊漁センター」さんにお世話になって「小島のハナレ」に渡礁。この日の満潮時刻は午前4時45分(宿毛)で、タイミング的には潮の引きはじめ。手早く準備を整えた江頭さんは、磯の西端(船着きの反対側)に釣り座を構えて釣りをスタート。
釣り場の「小島のハナレ」。足場が低いため、荒天時や大潮まわりの満潮時は渡礁できないが、チヌとグレの実績はピカイチ 。
まずはBのウキを用いた半遊動仕掛け(ガン玉はナビ下にBをひとつ、ウキ下は3ヒロ半)をセットし、30mほど沖にできている潮のヨレにキャスト。
マキエを5杯ほど撒いてなじませていくと、ウキが気持ちよく消し込んだ。すかさず糸フケを取ってアワセを入れると、『イソ リミテッド』エアロフォースがきれいな弧を描いた。
「グレやね。それもええ型ですよ」
グレの引きを存分に楽しんで玉網に収めたのは、コンディション抜群の48㎝! いきなりの良型登場に江頭さんの顔にも笑みがこぼれる。
続く2投目もヒットに持ち込むが、足元に広がるハエ根にハリスが擦れてラインブレイク。
その後も沖の潮のヨレを狙い撃ち、45㎝(3投目)、44㎝(6投目)、40㎝(7投目)、47㎝(9投目)をキャッチ。
「朝イチのモーニングサービスとはいえ、これはサービスしすぎじゃないでしょうか」と江頭さんが言うほどの連発劇をみせてくれた。
しかも、9投目に釣り上げた47㎝のグレに関しては、回収中に食ってきた。海面を滑るサシエに対して、フィッシュイーターのように海面を割って飛びついてきたのだ。
「それだけ活性が高い証拠ですね。でも、この時合もそう長くは続かないでしょう」
江頭さんの言葉通り、8時を過ぎるとグレからの反応が薄くなり、代わりにエサ盗りの活性が上がり素バリを引く場面が増えた。
江頭さんの朝イチの仕掛け
ロッド シマノ『イソ リミテッド 08号-530(エアロフォース)」
ロッドはシマノ『イソ リミテッド』シリーズのNEWモデル「08号-530(エアロフォース)」。
スパイラルXコア、NEWパラボラチューンR、Xガイドで構成されたコアブランクスを搭載し、シマノ磯ロッド最高レベルの強さと軽さ、粘りを備える。なかでも「エアロフォース」は優れた操作性を生み出す圧倒的な軽量感が特徴で、そのしなやかさからは推し量れない力強さも備えて大型の口太グレにも対応可能。
実際、取材では足元にハエ根が広がり取り込みが難しい釣り座だったが、50cmオーバーのグレも難なく取り込むことができた
ウキ・ライン・ハリ
江頭さん愛用のウキ『CORE ZERO-PIT DVC TYPE-D』(シマノ)はラインを切ることなく交換がおこなえ、オモリを使わずに浮力の微調整ができる。
ハリスは『リミテッドプロ マスターフロロ タフマッド』(シマノ)を使用。
ハリは食い渋りにも対応する軽量&半スレ仕様の『身軽グレ』。この日は6号をメインに使用した。
江頭さんお気に入りの『身軽グレ』が口元をしっかりとらえた。近年の主流である遠投・浅ダナ狙いにベストマッチするハリだ
江頭さんが使ったマキエ&サシエ
マキエ
マキエはオキアミ生9kgに、マルキユー『グレパワーVSP』(写真)、『グレパワーV9スペシャル』、『爆寄せグレ』を1袋ずつ混ぜ合わせたもの。
持参したサシエ。『くわせオキアミスーパーハードM』に加え、チヌも視野に入れて黄色いエサの『くわせオキアミ食い込みイエロー』と『食い渋りイエロー』も準備。これらにプラスして生のオキアミも使った。
サシエのスローフォールで51cm
朝イチと比べてグレの食いが渋くはなったものの、サシエのローテーションを施しながら35〜48㎝の本命を追釣していく江頭さん。しかし、9時を過ぎるとさらに反応が渋くなり、1時間ほど沈黙の時間が流れた。
「完全にアタリがなくなりましたね。仕掛けを替えてみます」
そう言って00号のウキにガン玉を打たない軽量仕掛けをセット。やや風があったため、ウキの「DVCシリンダー」を少しだけ右に回して浮力をさらにマイナスに。これでウキごと沈めつつ、ハリスをフカせてサシエをスローに見せてやる作戦に。
その1投目、ウキが見えなくなった辺りでラインがスーッと走るアタリをとらえた。アワセを入れると、これまでにないほどロッドが大きく曲がった。
「よう引きますわ。今日イチかな?」
魚の動きに合わせてロッドを巧みに操作し、それでも対応できないときは自身の立ち位置を変えながら徐々に距離を詰めていく。やがて海面に浮いてきたのはグッドプロポーションの美しいグレで、一発で玉網入れに成功。
計測すると、この日最大となる51cm。
「足元はハエ根が広がってるし、ロッドはライトな08号。久しぶりにシビれるファイトでした」と江頭さん。
この51cmの後、再び沈黙の時間が流れたものの、13〜14時の1時間は連チャンモードに突入。45㎝までの数釣りを楽しみ、早めの15時にストップフィッシングとした。
13時〜14時に再び自合が到来。1投1匹の怒涛の連チャンモードとなったが、クーラーがいっぱいになったので早めの15時に納竿した。
51cmのグレを釣った仕掛け
取材当日、高知の国見孝則さんも泊浦に釣行。別磯でチヌを狙い、56㎝を頭に14匹の好釣果を手にした。別記事で紹介予定。
遠投・浅ダナ狙いが有効/江頭弘則
江頭さんが説明してくれた最近のグレ釣りを最後に紹介しよう。
最近のグレ釣りは磯際ではなく、沖目狙いが圧倒的に有効です。というのも、四国だけに限ったことではありませんが、全国的に「磯焼け」という現象が起こって海藻が減っているんです。グレは海藻の新芽を好んで食べるので、磯焼けによって慢性的なエサ不足に陥り、海中を浮遊するプランクトンを食べるようになっているのではないかと思います。
プランクトンっていうのは潮に流されて潮目などに溜まるため、これを追ってグレも沖へ移動しているのでしょう。
徳島県の牟岐大島では、昔は磯際にびっしり着いていたグレが最近ではまったく姿が見えないと船頭さんから聞いたことがあります。実際、海に潜って見たらしいので、磯際からグレが離れているのは間違いないでしょう。
また、空気と水の屈折率の違いから、魚が海中から水面方向を見たときに、ある角度からこちらが見えにくくなる現象が起こります(全反射)。それは魚と釣り人の距離が遠くなればなるほど期待できるため、遠投はグレに警戒心を与えずに釣ることもできるんです。
そして、沖に出たグレは浅いタナを浮遊しているプランクトンを食べているので、必然的に浅ダナ狙いとなります。寒の時期でも浅ダナ狙いが有効ですね。
ひと昔前は寒グレ狙いといえば5ヒロや6ヒロといった深いウキ下でベタ底を狙うイメージがありましたが、今は1年を通してガン玉を抑えた軽い仕掛けで3ヒロ半までのタナを狙って釣果を上げています。
釣行メモ
泊浦
利用渡船/大月遊漁センター