レバーブレーキを使用したスピニングタイラバ釣法について

釣歴30年、得意なジャンルはキスの投げ釣りと船釣り全般です。特に、最近は全国各地でタイラバで遊んでます。メインフィールドは北部九州及び北海道です。海、淡水問わずいろいろな釣りにチャレンジし、特に、海釣りにおいては北海道のタイラバの普及、レバーブレーキを使用したスピニングタイラバの普及等に力を入れてます。

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最近興味を持つ人が増えてきたレバーブレーキ(レバーブレーキ付きリール)を使用したスピニングタイラバについての魅力とその特徴について紹介します。

何度も紹介していますが、今回はレバーブレーキの特徴、普通のスピニングタイラバとの違い、どんなリールがお勧めか、具体的な釣り方等使について紹介します。

レバーブレーキリール『18トーナメントISO 3000LBD』でタイラバ
レバーブレーキリール『18トーナメントISO 3000LBD』

このレバーブレーキ付きのリールを使用した釣り方は、ライトジギング等いろいろな釣りへ応用できる可能性を秘めており、パターンがはまると「釣れた」ではなく「釣った」ことを実感できる楽しさがある釣り方です。(上手く使いこなせればヒット率が上がります。)

スピニングタイラバで釣れたマダイ
レバーブレーキを使用したスピニングタイラバで釣れた真鯛3キロ

【レバーブレーキリールの特徴について】

普通のスピニングリールと大きく異なる点は、ローターの逆回転を行うためのレバーが付いており、一部のスピニングリールに付いている、逆転の切り替えスイッチの役割をすることです。

この機構は元々、グレ(メジナ)等のフカセ釣りで魚に竿をのされて竿の復元力を使えない時に、釣り人が糸を送り出して竿を立てるのが本来の使い方です。

昔は、ドラグのないLB(レバーブレーキ)リールとドラグのあるLBD(レバーブレーキ+ドラグ)の2つのタイプがありましたが、現在はLBDタイプのリールが主流です

また、レバーブレーキリールはボタン1つでスプール交換できる仕組みがあり、これはタイラバやライトジギングなどで根掛かってしまって高切れしたりした時に、すぐに事前にドラグ値をセットしたスプールに交換が可能です。

気になるリールの価格は、通常のスピニングリールに比べ、機構が複雑なので高くなっています。

リールの番手によっては、ハンドル部分がねじで固定しているものと、ハンドルのねじ込み式の2種類がありますが、可能であればねじ込み式を選んでください。

その理由は、レバーブレーキリールを使用したスピニングタイラバの注意点のところで紹介します。

ボタンを1つで素早くスプールの交換が可能

【レバーブレーキを使用したスピニングタイラバのメリットとデメリット】

レバーブレーキ付きスピニングリールと通常のスピニングリールを比較して、レバーブレーキのメリット・デメリット、そして共通する点を紹介します。

〇レバーブレーキのメリット

・フォールのアタリを普通のスピニングリールを使用した時よりも拾うことができる。

普通のスピニングでは、フリーフォールのみしかできないため、フォールのアタリを
拾い辛い。

・テンションフォールとフリーフォールの組み合わせ、コンビネーションフォールで巻き上げとフォールの往復で魚に誘いをかけることができる。

特に、マダイの活性が高く、執拗に獲物を追い回す時に効果的。

・根掛かりした時のスプール交換が速い。

ワンタッチで交換可能。

・ブレーキをかけたテンションフォールにより、両軸リールと同じような感覚で着底を
感知できるため、根が荒い釣り場などで根掛かりの軽減ができる。

・ブレーキをかけたテンションフォール後のタッチアンドゴーがしやすく、魚に見切ら
れる確率がやや減る。

固定式の時でも普通に着底後素早くベールを返すだけで、ほとんど見切られたこと
もないので、ましてや遊動式の場合はネクタイとスカートが着底する時間がヘッドが
着底して1呼吸分ぐらいの時間の余裕があるので、特にメリットというものでもあり
ませんが・・・。

〇レバーブレーキのデメリット

・フォールを使用する状況の判断を誤ると、魚に見切られ、釣れなくなる。

これが難しく、この釣り方の面白い所です。

・リール自体の値段が高い。

普通のスピニングリールなら1ランク上のリールが買えます。

〇共通すること

・乗り合い船で不利な釣り座の時にキャストして着底ポイントをずらしてフレッシュ
な個体を狙うことができる。

・ハイギアとローギアの選定基準(実釣の経験に基づく)

ハイギア:ヘッドの重さが60gまでが最適(材質にもよる)

ローギア:ヘッドの重さが120gまでが最適(例外的に、ダイワの3000~4000番クラスのリール、シマノ4000番サイズなら200gまでは問題なし)

※このリールに対する最適なヘッドの重さについては、バーティカルのスピニングタ
イラバの記事で紹介しています。(10年以上の実績から導き出したデータです。)

【レバーブレーキリール購入時の注意点】

よくネットでレバーブレーキリールを紹介しているサイトでは、安い商品をお勧めとしていますが、これは安物買いの銭失いになるので注意が必要です。

これは、レバーブレーキリールは高い商品と安い商品では、ローターの材質や細部の作り、使用している部品等が異なるからです。

高い商品はローターが軽くて逆回転させるときにほとんど抵抗にならないのに対して、安い商品はローターが重く、フカセ釣りで使う分には問題ないのですが、タイラバのようにシビアなフォールを意識する釣りでは、材質の違いによるフォールへの影響が大きな問題となります。

そのため、購入するなら少なくともフラッグシップモデルに準ずるモデル以上の商品を購入した方が、長い目で見ても壊れにくく、メンテナンス等の費用もかからずお得です。

(ダイワ製品なら『鏡牙LBD』や『モアザンLBD』『トーナメント ISO LBD』、シマノ製品なら『BB-Xテクニウム』等)

お勧めは前述したように、ローギアのリールがお勧めですが、キャストを多用する場合、特に水深が20m以浅の場合などは、ハイギアがお勧めです。

ダイワ『17モアザン』

【レバーブレーキを使用したスピニングタイラバの注意点】

この釣りはハンドルの形状と使用するルアーの形状でフォールの良し悪しが決まります。

具体的には、レバーブレーキを使用したスピニングリールの実釣動画でハンドル(シングルハンドル)がすごい速度で回っているのを見たことがある人もいると思いますが、これはフォールのメリットを活かせていません。

多くの人がフォールスピードを制御するためにレバーブレーキを使うと考えますが、これはあくまで前提として、

「フォールの速度を安定的にコントロールできる状態で、このレバーブレーキを使用したフォールを行うことでヒット率が従来のスピニングリールのタイラバに比べ上がる」

ということです。

みなさんが見たことがある動画のように、勢いよくシングルのハンドルが回っている状態で、うっかりテンションをかけないで着底させると、その瞬間にバックラッシュします。

スピニングのバックラッシュは経験したことがある人はわかると思いますが、ラインが1回でダメになります。(バーティカルで発生しやすいです。)

では、フォール速度を安定的にコントロールできる状態にするにはどうすれば良いかというと、フォール速度をハンドルの形状とルアーの形状等で軽減し、レバーで操作しやすい状態にするのです。

ドテラで使うのであれば、潮が効いていれば潮の横の動きでフォール速度が勝手に調整されますので、もっとフォール速度の調整がしやすくなります。

レバーのみでフォール速度を調整するのは本当に大変です、特に最近のダイワ製品に搭載されているバイターボブレーキはブレーキが効きやすいため、非常に速度調整が難しいです。

従来のフカセ用やシーバス用のLBDのブレーキの効き方がじわじわと効いていくのでこの釣り方にはお勧めです。

ハンドル交換でフォール速度を調整

フォール速度の調整を容易にするために、私がお勧めするのはハンドルをシングルハンドルからダブルハンドル、もしくはカウンターバランス付きのシングルハンドルへの交換(リブレ製品等)です。

このハンドル変更の理由は、通常のシングルハンドルでは、タイラバやジグの重さが増えれば増えるほど勢いよくハンドルが回転するので、そのスピードを調整するために、ハンドルの重さを利用してエンジンブレーキをかけるように、フォール速度を調整します。

本当にこのハンドルの交換だけで、釣り易さやフォールでのアタリが増えるのでお勧めです。

前述したネジ固定式のハンドル(ダイワの18尾長モンスター4000LBD等)では、ハンドル交換の選択肢が極端に少ない(作っているメーカーがほとんどないので、昔のパーツ等を流用するのみ)ので、ねじ込み式のハンドル(トーナメント ISOなら3000番クラスのハンドル等)が付いている製品を購入した方が良いです。

なお、時々勘違いしている人が多いのですが、「レバーブレーキを使用して大物とのやり取りをする」、これをするとリールが破損します。

特に、青物や大型真鯛の走りをレバーブレーキを使用して止めようとするとブレーキのみだけではなく、その他の部分にもダメージが出たり、怪我をする可能性もあります。高い修理代を払ったり、病院に行きたくなければ試さない方が無難です。

スペック上ブレーキ力が10キロほどあっても、魚が走る時にかかる力は10キロをゆうに超えるので、その勢いを止められません。

【レバーブレーキを使用したスピニングタイラバの具体的な釣り方】

普通のスピニングリールを使用したスピニングタイラバと大きく違いはありません。

私自身、この釣り方をやっている理由としては、もともと私のバーティカルのスピニングタイラバの完成形がこの釣り方で、この釣り方でないと自分の思うような釣りを展開できないからです。

細部は、バーティカルのスピニングタイラバの記事等をご覧ください。

ちなみに、この釣り方を知り合いの船長にやってもらったところ、感想として「思った以上にやり辛く難しい」でした。

慣れない内は、レバーが邪魔でキャストしづらかったり、レバーの操作に手間取ったりしますが、慣れてくるとその効果を実感し手放せなくなります。

浅い所でキャストして使う場合は、着水した瞬間にベールを戻してレバーブレーキを使用してテンションをかけてのカーブフォール、着底したら巻き上げ、そしてンションをかけてのカーブフォールの繰り返しです。

深い所で使う場合は、最初はフリーフォール、着底後巻き上げ、レバーブレーキを使用してテンションフォール、巻き上げの繰り返しやフリーフォールの繰り返しで魚を焦らして、レバーブレーキを使用してテンションフォールすると、その後の巻き上げで一発で食ってくることが非常に多かったです。

当然、フォールでも食うことが多く、投入後にフリーフォールさせて巻き上げ、テンションフォールをして、いきなり糸ふけが出てヒットすることも多かったです。(北海道の大型の黒ソイには特に有効でした。)

スピニングタイラバで釣れたクロソイ
レバーブレーキを使用したスピニングタイラバで釣れた40cmオーバーのクロソイ
レバーブレーキを使用したスピニングタイラバで釣れたアイナメ

【結言】

このレバーブレーキを使用した釣り方は、道具は高いし、慣れないとやり辛いのでかなり敷居が高いと思いますが、慣れると釣り方の幅が非常に大きく、広くなり、もっと多くの魚をキャッチできる釣り方だと確信しています。

この釣り方を始めた当初は、他誌の誌面などでも紹介していただくこともありましたが、マニアックな記事なので自分以外誰もやらないだろうなと思いつつも、レバーブレーキを使用したタイラバの魅力や釣り方を公開してきて、最近ようやく大手メーカーの方もその魅力に気づいてくれて嬉しい限りです。

まだまだ既存の道具を利用してこの釣り方をやっていくしかない状態ですが、今後ライトジギングやタイラバなど多くの釣りに応用できるようレバーブレーキリールもいろんなラインナップが出ると楽しいのにと思います。

今後も「釣りぽ」等でこの釣り方の魅力を紹介していきたいと思います。

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