釣行日/2023年5月14日
令和5年5月14日、今回は5月1日のイシナギ調査釣行の続きということで、千葉県、外房の川津漁港からイシナギ釣りで出港する「基吉丸」さんにまたお世話になりました。
こちらの船は毎年5月末頃から8月初旬頃まで、深海魚であるイシナギの産卵に伴う接岸の際にイシナギ乗り合いを出しています。
船長はイシナギの生態や釣り方を熟知しており、非常に操船も上手く、多くの実績を上げられています。過去には100キロオーバーの大型も釣れており、近年ではそのような大型の数は減ったそうですが、20キロオーバーのものであれば数多く上がっています。
例年だとエサのスルメイカを釣って、それからイシナギを釣るという流れですが、今年はエサのヤリイカが5月になっても釣れ続けているためか、ヤリイカを釣ってからイシナギを狙う流れになっていました。
こちらの海域では、イシナギ釣りの制限が10時30分までとなっているので、朝の短時間でエサのスルメイカやヤリイカを確保しなければならないので忙しいところです。
特に、最近はこのエサとなるヤリイカやスルメイカの確保が大変で、全く釣れないこともあるので、保険として事前にイカを買ってくるというようになっています。(デッドベイトのイカは、概ね7ハイあれば釣りとして成立します。※サイズは、胴が約15センチ以下の小型のスルメイカは不可)
今回も、朝4時30分頃に出港しましたが、ヤリイカが釣れているポイントが鴨川のすぐ沖の行川(なめがわ)沖だったため、40分程走ってから第1投となりました。
ポイントの水深は170m前後で、やはりこの日もサバの猛攻に悩まされました。
この日は18センチのブランコでやっていましたが、艫で直結でやっていた知り合いの常連さん達はコンスタントにヤリイカを釣っていました。
今回も釣り座がミヨシだったこともあり、かつ時化のためうねりがあったので、直結で落ちるの覚悟でやるよりも、サバの猛攻を受けつつ、底まで到達した後に確実にヤリイカをキャッチできる釣り方の方が良いと判断し、ブランコで続けました。
ここでは最終的に6ハイ程釣り、イシナギのエサを何とか確保できました。さらに船長から良いイカもいただいて万全の状態にしていただけました。
7時前までイカ釣りをやってからそこからイシナギのポイントに移動となりました。
今回はイカが少なかったので移動間も私のイカは元気でしたが、知り合いの艫の常連さん達のイカはかなり釣れたためか、移動途中に酸欠で大半がお亡くなりになりなったようです。(通常1つの入れ物には6ハイぐらいが限度、たくさん釣れたらだいたい2つ、3つに分けて入れます。)
ポイント到着後、まず様子見ということで、比較的小さなヤリイカを使って投入すると、ヒラメやサメのような微妙なアタリが来ましたが食い込まずでした。
その後もアタリがなく、しばらくすると艫の方で知り合いの常連さんに魚がヒットしました。
上がった魚は、今季初となるイシナギで9キロ程の小型のイシナギでした。3年連続第1号を狙っていただけに、ちょっとショックでした。
ヒットパターンが少しわかってきたのと、良い感じに潮が流れていたため、エサのヤリイカを大型のパラソルサイズに交換して流していると、1発で竿先が刺さりました。
すぐにイシナギとわかったので、慎重にやり取りするもすんなり上がってきたので、「まさかサメか?」と思いましたが、小型の5キロ程のイシナギ(自己最小記録)が釣れました。
とりあえず、開幕当初の日に3年連続釣れたこともあり、サイズに関係なくとても嬉しかったです。
パラソルサイズのヤリイカ用の新システムの効果も検証でき、非常に価値のある1本となりました。
その後は、底潮が全くいかず、アタリもなくそのまま10時30分頃に終了となりました。
今回は終日、艫からポイントに入る状況かつうねりの高い状況で、不利な状況にもかかわらず、本命をゲットできたので良かったです。(船長からはよくあの状況で掛けたねと驚かれましたが)
今回の釣行では、パラソルサイズのヤリイカへの反応が良かったですが、潮が行っている時に大きなイカ、潮が行っていない時は小さなイカが良いということが必ずしも成立しえないことも再認識できました。
ジグを使えばイレギュラーアクションで、リアクションバイトを拾えるかなと思いましたが、人が多く、オマツリの危険性もあり、なかなか良いメソッドとして成立しえないと思いました。(ジグの重さは概ね250~300gが最適(オマツリ防止のため))
いよいよ開幕した勝浦沖のイシナギ、起伏の激しい根を狙うため、非常に難易度の高い釣りですが、今年こそは、100キロオーバーのイシナギをゲットしたいです。
【外房 勝浦沖のイシナギの釣り方について】
外房勝浦沖のイシナギの釣り方について紹介します。
この釣りは、他の釣りのタックルが流用できると思われがちですが、ご当地の釣り場の特性、仕掛けの特徴等により、かなりタックル選定や釣り方がシビアです。
シーズンに1回程、釣れている時しか来ないのにイシナギについて語っている人もいますが、そのような人の説明はあまり参考にしない方が良いと思います。
①竿の選定について
よくキハダ釣りの竿で十分という人がいますが、ご当地では錘250号を使うため、キハダ釣りで使う竿では、どうしてもオーバースペックになり、曲がり過ぎてしまい、アワセやアタリを取るのに影響があります。(使えないこともないですが、おススメできません。)
特に、最近思うのが、ミヨシの方が釣れると思っている人が多く(常連さんが言うには、私がいつもミヨシでイシナギを釣っているためみたいですが)、短い竿を使ってミヨシで釣ろうとする人が多いということです。
このイシナギ釣りでは、ミヨシで釣る場合、よほどの凪の時以外、1.7m前後の短い竿では、うねりで竿先が大きく上下(ミヨシの場合、海面から必然的に高くなるため)することにより、仕掛けが動きすぎ、イシナギを警戒させ、食い込まないような状況が多発します。(過去に何度も検証済み)
特に、今回の釣行のように波が2m以上ある時などは、私が使っているスタンディングディープ195SSよりも短い竿の場合、うねりをうまく吸収できず、仕掛けが動くことによって棚がずれるのでイシナギは食い込みが浅かったり、全くアタリがなくなったりすることもあります。
そのため、竿の長さは、ミヨシでやるならば1.8m以上の長さの竿を使い、かつ250号を使用しても若干先調子を保つことができるような道具を選定する方が良いです。(概ね250号を使用して7:3の調子を保てる竿が理想(剛樹のスタンディングディープ195SSや195S等))
短い竿の方が魚のやり取りが楽なのですが、このイシナギの釣りは、ドラグを効かせて釣ることができ、また船で追い掛けてもらえるため、そこまでシビアに考える必要はないです。
②リールの選定について
基本的に各メーカーの大物泳がせで使用するような、シマノであれば6000番以上、ダイワであれば800番以上がおススメです。
最近はライトタックルということで、ダイワの500番サイズのリールで挑戦しようとする人がいますが、1度や2度釣れたとしても結局その内に故障が生じて修理費用が高くつくことになります。
いくらドラグを効かせて釣る釣りとは言えど、最大100キロ超えるサイズの魚にはそれなりの道具が必要です。
実際、私が過去に50キロ超のイシナギを釣った際も、20キロサイズが連続して釣れている中で、突然50キロ超がヒットしましたので。
電動か手巻きかは個人の好みがありますが、棚をしっかりと取れ、かつ体力に自信があるのであれば、手巻きでも良いと思います。
③道糸の太さについて
最近では20キロ前後が釣れることが多いので、ほぼ新品のPE8号を使用していますが、慣れない内はPE10号がお勧めです。
PE12号以上の太い糸になると潮の影響を受けるため、若干食いが悪くなるのとオマツリが多くなるのでおススメしません。(PE15号を試しに使用したこともありましたが、ダメでした。)
④「仕掛けについて
過去の記事を参照してください。下記にリンクを載せます。
→細部仕掛け等の説明を載せています。(ハリスの長さは、3mではコスパ等も良くないので、最近は2mにしています。)
【最大20キロオーバーも 千葉県外房 勝浦沖のイシナギ釣行について】 日本の釣りにしらしんけん ~ジギング タイラバ 船釣り タックルインプレ等~
パラソルサイズのヤリイカ用のトリプルフックのシステムについては、まだまだ検証したいので、細部は載せていません。
また、ハリスは60号までが限度です。よくネットで80~100号を使用する仕掛けも紹介されていますが、ここ勝浦沖では60号までが無難です。(太いハリスは、根掛かりした際に切るのも大変で、かつ潮の影響を受けてアタリが減ります。)
⑤釣り方について
この釣りは、ロッドホルダーに竿を固定して、マメに棚を取る釣りです。底から3~4mを頻繁に取り直すことにより、エサをフォールでイシナギに見せるとともに、常にイシナギの目の前にエサを置いてやるようなイメージです。
反応が良い時のイシナギは、棚を取りなおすとすぐにヒットします。
特に、勝浦のイシナギ釣りでは、底が非常に起伏に富んでおり、根掛かりしやすいため、船が前進して安定した時や特にそのような動きがない中でも、最大でも1分程で底を取り直すようにした方が根掛かりは少なくなります。
また、根掛かりした際には、棒状のラインブレーカーは必須です。ルアー用のラインブレーカーでは、道糸が太いため、破損する恐れがあります。
なお、石鯛釣りの根掛かりを切るような輪っか状の物は危険ですので絶対に使わないで下さい。
釣り方で棚取りの他に重要なものとしてはアワセです。よくイシナギをバラす人は、アワセが早いことが多いです。
また、最初から手持ちでアワセを入れると、ほぼ100%に近い確率でバレると思います。(イシナギの引きに耐えられず、ストレートポンピングみたいにアワセるのも間違いなくバレます。)
手持ちでやることがNGの理由としては、イシナギはサイズが10キロ未満の小型から100キロ超のものもいるため、どのサイズがヒットするかわからないので、ドラグをフルロックやかなりきつめにしていると、最初の引きに耐え切れず、道具を持っていかれることもあります。
ロッドホルダーに竿を固定して、本アタリが来てアワセます。ロッドホルダーに竿を固定することにより、イシナギの硬い口周りに針をてこの原理を利用して貫通させることができます。(針先を硬い口周りに引っ掛けて、その後の追いアワセで完全に貫通させるイメージです。)
そのため、泳がせ針のようなストレートな掛けるタイプの形状の針を仕掛けに使い、クエ鈎のような若干ネムリが入った針を使わない理由がここにあります。(厚みのある硬い口周りを貫通できないため)。
なお、勝浦沖では、イカエサをメインに使用するため、クエ鈎のようなネムリ鈎を使うようなエサ(サバ等)はあまり使用しません。
イシナギに対して何度も強力なアワセが必要なのは、いくらてこの原理を利用して掛けても、食い込みが悪い時など、針先のみが掛かっていることもあり、深く食い込ませるためです。
このアワセの際に重要なのが前述した竿の調子で、あまり曲がり過ぎる竿だと竿がアワセる際の力を吸収してしまい、アワセが効かず、結局針が貫通せずにバレてしまいます。(極端に竿が柔らかいと経験上イシナギが違和感を感じてエサを途中で放すことも多いです。)
釣り方の結論としては、マメな棚取りとロッドホルダーに竿を固定して、しっかりと本アタリで何度もアワセを入れることが大切です。この釣りでは早アワセは厳禁です。
⑥その他
イシナギは背びれが非常に大きく鋭いため、何らかの拍子で刺さる可能性もあり、イシナギが生きている間は絶対に膝に乗せて写真を撮ろうとしないで下さい。
(イシナギのぬめりは、独特の匂いもあり、ウェアに付くと非常に臭いが落ちにくいので、膝乗せは安全面上のことだけでなく、あまりおススメはしません。)
過去に漁師がイシナギの背びれに刺されて亡くなった事例もあるぐらい危険です。
釣りはあくまでレジャーなので大きな魚を釣って舞い上がることもあるでしょうが、怪我をすれば自分だけでなく、船長や同船者等周りの人を巻き込んでしまうので、注意する必要があります。
また、イシナギは食品衛生法上でも規定されていますが、肝臓にビタミンAを過剰に含んでいることもあり、食べると中毒を起こすので、少量であっても絶対に食べてはいけません。
さらに、アブラボウズやベニアコウ等と同様に、イシナギにもアニサキスがたくさんいますので、刺身等で生食をする際は注意する必要があります。
《釣行メモ》
釣行日 | 2023年5月14日 |
潮汐 | 長潮 |
満潮 | 11時33分 |
干潮 | 06時34分 |
(勝浦) |
《使用タックル》
竿 | タンディングディープ 195SS(イシナギ用)、スクイッドロゴス195H(ヤリイカ用)(剛樹) | |
リール | 20シーボーグ800MJS(ダイワ)、22ビーストマスター2000EJ(シマノ) | |
道糸 | フロロ60号 | |
ハリ | 泳がせ30号、石鯛鈎20号 | |
ハリ | () |
《エサ》
サシエ | 40センチのヤリイカ |