本誌でもおなじみの投げ釣りのエキスパート・日置淳さんが、2021年10月にマダイを狙って高松沖に浮かぶ男木島にアタック。日置さんにとって男木島は初めて訪れる釣り場。日置さんは投げ竿『プロセレクト(振出)』を手に、どのような釣りを展開してマダイを攻略したのだろうか。
日置 淳(ひおき じゅん)
大阪府在住。キスやカレイをはじめ、チヌやコロダイ、マダイなど、四季折々の旬の釣りを楽しむ投げ釣りのエキスパート。シマノインストラクター、オーナーばり・フジワラフィールドテスター
この日はNEWロッド『プロセレクト』を使っての実釣。夕日に照らされて浮かび上がる美しいカーボンテープに、自然と気持ちが高揚してくるとのこと。
釣り場/男木島 男木港&男木漁港
男木島は高松港の北方沖、10kmほどの位置にある有人島で、加茂ヶ瀬戸(かもがせと)を挟んで夫婦島である女木島(めぎじま)と接する。この日は島の南西にある男木港と、南東に位置する男木漁港で竿を出した。男木島へは高松港から定期船を利用して渡ることもできる。
島の周囲は速くて複雑な潮が流れる
男木港は定期船の発着港となっている。波止先端から竿を出す際は十分に注意したい
当日は高松市の立石港から出る「アンタレス(☎︎080-4805-4684)」にお世話になった。本業は遊漁船だが、男木島と女木島への波止渡しにも対応してくれる。
男木島で釣り開始
10月8日の14時30分、高松市の立石港から出船する「アンタレス」に乗り込み、男木島に向けて出発。
「実は男木島に釣行するのは今日が初めてなんですよ。波止からの投げ釣りでマダイが釣れるという話は聞いたことがあるのですが、詳しい情報はほぼありません(汗)。地形や水深、ショアラバや船からのタイラバの釣果を聞く限りでは、男木島一帯はマダイの好ポイントに違いないと思うんです。あとは実際に竿を出してみて、潮の流れや地形、魚からの反応に応じて釣りを組み立てていこうと思います」と日置さん。
14時45分、男木島の玄関口、男木港に到着。「ここから南に少し歩いたところにある男木漁港も気になりますが、まずはここでやってみます」
そう言って男木港の長波止先端部に釣り座を構えて、釣りを開始した。
まずはオモリだけをキャストして、水深や地形の変化をチェック。「水深は深いところで10mほど、海底は砂地で所々にシモリやカケアガリがありますね。マダイが釣れそうなポイントですよ」と日置さん。
「船長いわく、男木島一帯は下げ潮より上げ潮のほうが流れが速くなるとのことです。今日は大潮後の中潮初日なんで、かなり流れるんじゃないでしょうか。下げから上げに変わる転流時と、潮が緩む一瞬のタイミングが時合になると思います」
そう言いながら1本目はボケをセットし、カケアガリに仕掛けを置いてアタリを待つ。潮は右方向へとじんわり流れて雰囲気は抜群だ
1本目を投入し終えて2本目の準備に取りかかる。「竿ごと持っていかれるような強烈なアタリが欲しいですね」
日置さんの投げタックル
シマノ『プロセレクト(振出)』
ブランクスに「スパイラルX」と「ハイパワーX」を採用することで、キャストやファイト時に発生するロッドのネジレやつぶれを徹底抑制。圧倒的な飛距離とコントロール性能、さらには粘り強いパワーを実現。また、元ガイドには太いナイロンラインにも対応する「RV30大口径固定ガイド」を新たに搭載し、大物釣りを強力にバックアップ。ほかにもガイドの緩みを抑制する「トータルガイドホールドシステム」や遠投性能をさらに引き出す「キャスコングリップ」、釣行後のメンテナンス時に活躍する「ウォッシャブル尻栓」など、さまざまな装備を誇る遠投置き竿釣りの理想を追い求めたロッド。「405DX-T」〜「425AX-T」の全8モデルがラインナップ。
この日は「425CX-T」を使用。遠投置き竿釣りにおいて、日置さんがもっとも使用するモデルだ。
釣行後のメンテナンス時に通常の尻栓と入れ替えるだけで、元ガイドのラッピングが傷まず、ロッド内部の水気も乾きやすい。
太号数のラインでも使いやすい大口径ガイド。ライントラブルを気にすることなく、快適なキャスティングが可能
名竿『スピンパワー(振出)』の流れをくむ『プロセレクト』。しっかり曲がって溜め込んだパワーは、そのまま飛距離に変換されて遥か沖のポイントを狙い撃つことができる。
リールは『パワーエアロ スピンパワー』の太糸仕様をセレクトした。
天秤とオモリはフジワラ『ストレートキャッチ』と『カラーシンカー弾丸』30号を使用。
マダイ狙いのエサ
持参したエサはボケ、ホンムシ、ユムシの3種。「瀬戸内のマダイ釣りでは本コウジかタイムシのどちらかは持っておきたいところですが、今回は残念ながら入手できませんでした」と日置さん。
4本のタックルを出し終えた15時40分、ホンムシをセットしていたタックルに竿先を揺らすアタリ
「マダイなら一気に走ると思うんで、これはエサ盗りっぽいですね」としばらく様子をうかがってみたが、ついばむだけで食い込む気配はない。回収してみるとエサだけきれいに盗られていた。カワハギだろうか。
17時、右方向へ流れていた潮が止まり、すぐに左流れに変わった。「潮変わりですね。いつマダイがアタってもおかしくない状況ですよ」と話していたときだった。女木島向きに投入していたタックルからドラグ音が鳴り響いた。
すぐさま駆け寄り、タイミングを見計らってアワセを入れると確かな重量感! 「頭を振らないんでマダイではなさそうです」と言いながら寄せてきたのは、マダイ釣りの定番ゲストのアカエイ。
慎重にハリを外してリリースしていると、ホンムシをセットしたタックルにアタリが出て小型のマダイをキャッチ。その後も立て続けにアタリがあり、エソとアカエイを追加。
「急にアタリが増えましたね。今がチャンスだと思います」と集中力を高めるものの、ほどなくして川のように速い潮が流れ出してしまった。
ファーストヒットはアカエイ。粘り強いロッドパワーでたやすく寄せて取り込んだ。
2匹目は小型ながら本命のマダイをキャッチ!
18時を過ぎて暗くなったところで穂先ライトをセット。エサの種類によって色を変えるのが日置さん流
9時過ぎ、相変わらず潮は速いまま。ここで粘って潮が緩むタイミングを待つか、それとも玉砕覚悟で釣り場を変えてみるか……。悩んだ末に日置さんが選んだのは、男木漁港への移動だった。
「ここ(男木港)も捨てがたいんですが、転流時のチャンスにマダイが釣れなかったので、思い切って移動してみたいと思います」
荷物を担いで30分ほど歩き、男木漁港の長波止先端部に入釣。潮はこちらも激流。水道筋ということもあって海底の変化(シモリや起伏)に富んでいると予想し、根掛かりやオマツリによる時間ロスを防ぐため竿数を2本に絞って狙ってみることに。
左から右方向に勢いよく潮が流れるなか、潮下方向に仕掛けを投げ入れていく日置さん。
「このまま潮が流れ続けることはなく、いつか緩むタイミングがおとずれるはずです。それまでは我慢ですね」
仕掛けを打ち返すこと約2時間、次第に潮が緩みはじめた。「そろそろいいかな」と3本目のタックルを準備していたとき、ドラグを鳴らす痛快なアタリ!
エサをしっかり食い込んだのを確信したところで大きくアワセを入れるとヒット!
「乗りました。あまり大きくはないけど、頭を振ってるんで本命っぽいですよ」と慎重に足元まで寄せてきたのは、日置さんの言葉通り本命のマダイ。掛かりどころを確認して一気に抜き上げたのは、42㎝のきれいな個体だった。
20分後、これまで潮が速くて攻められなかった正面方向に投げ入れた仕掛けに、竿が引き込まれるほどの強烈なアタリ。すぐさまアワセを叩き込むと、『プロセレクト』が大きくしなる。
「これはいいサイズのマダイですよ!」と緊迫したやり取りが繰り広げられたが、途中で痛恨のハリ外れ。これにはさすがの日置さんも天を仰いだ。
その後、再び潮が勢いを増すなか、30㎝クラスのマダイとカサゴを追加し、24時を迎えたところで納竿。
「残念ながら良型のマダイには出会えませんでしたが、可能性を感じるワクワクするポイントでした。時期や潮を合わせて、リベンジしたいですね」(日置さん)