2019年4月2日、岡山県倉敷市を出発して対岸の香川県三豊市に釣友と向かった小谷さとしは、このポイントについて「連れが渡船を始めたので、あっちに行くようになりました。とにかくチヌがよく釣れて型もいい! すごいフィールドですよ」と教えてくれた。ダイワから発売になったハイコストパフォーマンスのNEWロッド『銀狼』でその言葉を実証してみせてくれた。
小谷さとし(こたに さとし)/瀬戸内のチヌ、四国西南部のグレ釣りをメインに楽しんでいる。ダイワ磯モニター、鬼掛フィールドテスター。岡山県倉敷市在住
ダイワ NEW『銀狼』
入門者でも本格的なチヌ竿の調子を体感できるハイコストパフォーマンスロッド。
「扱いやすさにこだわった調子」をコンセプトとして、『銀狼唯牙』の設計手法を採り入れつつ2〜3番節に張りを残し、4番節を柔軟に仕上げた。負荷がかかると胴まで曲がり込んで粘りを発揮する本格的なチヌ竿調子で、操作時の調子は穂持ちを中心にやや張りを持たせたテイストになっている。「メガトップ」「V-ジョイント」「HVFカーボン」採用。
「価格は控えめですが、本格的なチヌ竿調子を十分に体感できますよ」と小谷さん。
#1〜#2には、糸絡みの少ない軽量のチタンフレームに優れたライン放出性を有する楕円形のSiCリングを合わせたIMガイドを搭載している。
軽くて扱いやすい竿。1番が軟らかくて2番と3番に張りがあるため先調子のようで仕掛けが投げやすい。
NEW『銀狼』スペック表
詫間沖でチヌ釣りスタート
香川県西部、荘内半島の根元にある宮ノ下港から渡船に乗り、小谷さんは志々島の「くずれ波止」に降りた。
根元はコンクリート波止だが、途中から乱雑に石が積み重ねられている。小谷さんはその先端に釣り座を構えて、東向きに竿を出した。船長の話によると、このポイントでは堅調にチヌが釣れており足元でアタってくるという。
しかしこの日は状況が異なり、足元にサシエを入れるとエサ盗りばかりでサシエが残らない。そこで沖に仕掛けを投入することに。
正面には志々島の岬を望み、その右奥に島が浮かぶ。何度か流すとヒトデがハリ掛かりして、底にサシエが届いていることがわかる。
沖ではエサ盗りがアタらなくなったが、チヌが食ってくる気配もない。状況ではチヌが浮いていないと思われるので、ウキ止めを10mの位置にセットして、ハリスを2mほど海底に這わせるイメージで釣り続けた。
潮は正面に見える岬へ向かって流れており、時には左手の湾内に差し込んだり右手の沖へ動いたりする。潮は緩急をつけて流れ、地形の変化を知らせるように、底から潮がわいて水面が鏡のようになる箇所がある。小谷さんはそういった潮の変化点へ仕掛けを送り込んでチヌからのアタリを待つ。
釣りはじめて約2時間、グッと竿を振り上げてアワセが決まった。正面から朝日を浴びて『銀狼』がきれいな弧を描く。
パワフルな魚の引きを受け止め、竿の胴がしっかり曲がり込んで粘りをみせる。小谷さんはやり取りを楽しみながら魚をコントロールして手前に寄せ、最後は玉網に収めた。きれいな魚体で、お腹がでっぷりと大きなチヌだった。
この後は依然として渋い状況が続いた。海底のイメージとしては波止の先端から正面の岬にかけてカケアガリが形成されている。カケアガリの左手は湾になって砂浜へ続き、水深は浅くなる。一方の右手にはイケスが浮かんで水深はぐっと深い。
イケスのおかげでエサは豊富にあり、深場から浅場への大きな地形変化(カケアガリ)がある。
50cm超の年無しチヌがヒット
1匹目が釣れてから約50分後、岬のほうへ向かって棒ウキが50mほど沖へ流れていった。そんななか、小谷さんはモソっとするウキのかすかな動きをとらえてアワセを入れた。
すると「グン」という重みが手元に伝わる。「うわ~、多分チヌですね。これはかなりデカいです」と声を上げる。
『銀狼』は先ほどより大きくきれいなカーブを描く。胴の粘りで重量感のある引きをしなやかに受けとめ、小谷さんは上体を反らせて魚のパワーに立ち向かう。
そうやって手前まで寄せてきても、余力のある魚は首を振って抵抗をみせる。慌てることなく竿を操作して、藻とシモリに注意を払いながら魚との間合いをさらに詰める。
最後はしっかり竿を立てて魚を浮かせ、玉網の柄を伸ばして魚をキャッチ。
明らかに「デカイ!」と圧倒されてメジャーを当ててみると、50㎝を超えていた! ほとんど魚っ気がない状況だったが、大チヌが「ガツン」と一発食ってくれた。
青空が広がりいくぶん風が強くなってきた。ペースを上げて3匹目、4匹目といきたいところだが、ここからしばらくは厳しい状況が続いた。
これまでずっと同じ筋を流していたが、朝と比べて風が強くなってくるなか、小谷さんは向きを右に変えてイケスの方向へ仕掛けを入れてみた。
この向きも正面から深く落ち込み、沖に向かってさらに水深が深くなっている。小谷さんは沖にマキエを撒いて軽く仕掛けを振り込み、チヌからのアタリを待った。
潮は左に動いたり、ほぼ止まったり、時には手前に当ててきたりする。そんななか、カケアガリに這わせるイメージでサシエを沈めていく。
魚っ気のない状況が変化したのは、潮が手前に押していたとき。小谷さんは2つのアタリをとらえてヒットに結びつけた。
最初の1匹は足元まで寄せたところでラインブレイクしたが、2匹目はより慎重なやり取りで手前へ寄せ、玉網に収めることができた。厳しい状況だったが50㎝オーバーも含む3匹のチヌを釣り上げて、この日の釣りを終了した。
この日の釣りを終えた小谷さんは、
「先月の詫間沖はおもしろいぐらいにアタってきましたが、今日はかなり難しかったです。ただ、これからは水温が上昇して魚の食いがよくなると思います。正体はわかりませんが、とんでもないヤツにラインをブチ切られたという話もよく聞きます。このフィールドは、ロクマルチヌが釣れる可能性も十分にありますよ」
と語ってくれた。
小谷さんの仕掛け
リール
魚の引きに滑らかに追従しながら効き続ける「ATD」、逆転時のブレを低減する「ワンウェイオシレーション」などの新機構をまとってチヌ専用にチューンナップされた『銀狼LBD』
道糸・ハリス
道糸は風や表層の波立ちに強くて水切れに優れた高比重PE『磯センサーSS+Si』(ダイワ)を使用。
ハリスはダイワ磯ハリス史上最高水準の強力と耐磨耗性を持つフロロカーボン。底をはわせるためハリスの長さは10mとった。
ウキ
ウキは円錐ウキの『銀狼 遠投』LL-3Bと、棒ウキ『ベガスティック タフ 遠投(自立)』3Bをメインに使用した
ハリ
『競魂チヌ』はエサズレを防止する内側ケン付の遠投仕様トーナメントバリを使用。
小谷さんのマキエ・サシエ
マキエは『銀狼スーパームギ遠投』『銀狼アミノXチヌ 激旨』『チヌスーパームギ』(いずれもダイワ)各1袋にオキアミを混ぜ合わせたものを使用。
マキエは前日に用意した。「あらかじめ作っておくとまとまって遠投しやすくなります。ただしアミエビの色味が薄くなるため、赤みを目立たせるなら現場で練るといいですよ」と、作ってみせてくれた。
シャクは山元工房『プロ山元シャクR750大』『同R800大』を使用。
利用渡船 渡船/森渡船
アクセス/高松自動車道「三豊鳥坂IC」からは(出口は下りのみ)、出てすぐの三差路を右折して県道220号、県道221号を経由して県道48号との交差点を左折。道なりに進み高瀬川を渡って「詫間町新的場」交差点で右折。突き当たりを左折し、コンビニ(ヤマザキデイリー)の手前の道を右折。粟島汽船「宮ノ下港乗り場」の桟橋から渡船を利用して釣り場へ。渡船代は3,500〜5,500円(ポイントは志々島、粟島、三崎、古三崎など、要確認)。