四国の南東部、紀伊水道と土佐湾を分けるように太平洋に大きく突き出ている室戸岬。その沖合は黒潮が流れ、変化に富んだ地形も相まって魚種が豊富で魚影の濃い、日本屈指の船釣りフィールドとして知られています。なかでも人気、実績が高いのは、カンパチやクエ、イシナギなどの大物狙いの泳がせ釣り。今回は船からの大物釣りに精通するシマノインストラクターの高橋哲也さんが、室戸沖に初釣行! 田島快亮船長の操る「フィッシングKAI」で、カンパチやクエを狙いました。
◯釣り人/高橋哲也(たかはし てつや) シマノ インストラクター 磯釣り・沖釣り・ボートフィッシングなど幅広いジャンルに精通するレジェンド。独自のスタイルで磯釣り界をリードし、今や日本を飛び越え海外の磯へも進出。
高橋哲也さんの室戸岬沖での泳がせ釣りは【YouTube釣りぽチャンネル】でも公開中です。
大物釣りの聖地・室戸沖へ
11月21日、高橋さんは「フィッシングKAI」に乗り込み、早朝の5時前に吉良川漁港から出船しました。当初は2日間の釣りを予定していましたが、翌日は荒天で船が出ない可能性が高いなかで室戸沖のポイントを目指しました。
日本各地のオフショアで泳がせ釣りを楽しみ、数々の大物を仕留めている高橋さんですが、室戸沖で釣りをするのは今回が初めて。フィールドに精通する田島船長にその特徴を聞きました。
「室戸沖の泳がせ釣り(大物釣り)のメインターゲットは、年間を通してカンパチ、クエ、春はイシナギがメインです。回遊があるときはキハダマグロも狙えます。ポイントにもよりますが、水深は80~140mほどのところで釣りをします。使用する活きエサは、サバ、ムロアジ、スルメイカがメインです。この3種類があればほぼ問題なく楽しめると思います。スルメイカは年中釣れますが、夏場は水温が高くてイケスの中で生かしておくのが難しいので不向きです。サバやムロアジは水深100~120m、スルメイカは水深200mほどの大陸棚の縁を狙います。エサを確保するのがなかなか難しく、悩みの種ですね」と船長。
1時間ほど走って周囲が薄明るくなるなかで、まずはエサの確保からスタート。サビキ仕掛けをセットしてサバやムロアジを狙います。船長の話にもあるようにエサの確保に苦労する日もあるのですが、この日はゴマサバが順調にヒット。ムロアジも混じり、30分ほどでまとまった数をキープすることができました。船長の提案でエサを釣っていたのと同じポイントで大物釣りに挑戦することになりました。
大物を制するためのタックルセレクト
今回、室戸沖の大物を仕留めるために高橋さんが選んだロッドは、シマノ『チェルマーレ泳がせH170』。高強度を誇るマッスルコアの採用により、電動リール『ビーストマスターMD6000』の暴力的なパワーと、根に潜ろうとする巨大魚の力と重量を受け止めたときの衝撃を、魚を浮かせる反発力に変える強さを実現しています。魚を掛けたときに最も負荷のかかるバット部に高強度カーボンソリッドを詰め込むことで強度面の不安を払拭しており、ハイパワーの電動リールを駆使して思う存分、巨大魚と勝負することができます。
「電動リールの進化は目覚ましく、今回使用する『ビーストマスターMD6000』は非常にパワーがありますので、以前は竿のほうが耐えられず参ってしまう状態でした。そこで新しい『チェルマーレ』には、バット部分にソリッドのコア素材をぎっちりと入れたことで非常に強化されました。何匹か40~50kgの魚を釣っていますが、置き竿でガンガン巻いても大丈夫ですし、安心してやり取りできます。こだわり抜いたカーボン素材によるチューブラー構造、強靭なブランクスは、手持ちで、スタンディングでのやり取りにおいても、操作性は抜群です」と高橋さん。
そして新生『チェルマーレ』に組み合わせる電動リールは、前述した『ビーストマスターMD6000』。巨大魚を獲るための圧倒的なパワーとスピードの実現を命題として、最新のテクノロジーを注ぎ込んだシマノ史上最強のビーストマスター。これでいっさいの死角はない。室戸沖の大物とも不安なく存分に戦えるように万全の準備を整えました。
室戸岬 泳がせ釣り仕掛け
クエに続いてカンパチもヒット!
まずはいいサイズのサバを選び、目通しでハリをセットして泳がせることに。するとすぐにアタリが出たものの、これはハリ掛かりしませんでした。回収してハリスを確認すると魚の口でザラザラになっており、船長の話ではマハタの可能性があるとのことで、開始直後からいい反応が出て期待が高まりました。
そして泳がせ釣りをはじめて1時間ほどが経過した頃、置き竿にしていたタックルを手に取った瞬間、いきなり竿先を絞り込む強烈なアタリ! 高橋さんは即座に体勢を整えて冷静に応戦。
「ハタっぽいよ!」
重量はあるものの泳ぐ魚ではなく、引きがあまり伝わってこないという。しばらくすると海面には丸々とした見事な魚体が浮かび上がりました。高橋さんが手にしたのは10kgオーバーのクエ! 室戸沖初チャレンジで狙いのターゲットを攻略することに成功しました。
さらなる大物を求めて釣りを再開。高橋さんはゴマサバだけでなく、ムロアジも使い分けながらアタリを待ちます。エサを弱らせないように素早くハリに掛けるのはもちろんですが、種類やサイズに応じて掛け方を変えて反応をうかがうなど、エサについても工夫していました。エサの大きさでアタリの出方も変わり、大型魚の食い方が変わるのもおもしろいところで、それも考慮して対処することも大切です。
その後、水深80mラインの底の荒いポイントを流しているときに、突如、強烈なアタリが高橋さんを襲う! 体勢を崩されたもののすぐに立て直して反撃開始! 安全にやり取りできる場所へ移動し、タックルのパワーを活かして浮かせてきました。
高橋さんはその引きから本命のひとつカンパチではないかと予想していましたが、それは確信へと変わり、ほどなく見事な魚体をしたカンパチが浮かび上がりました。船長が慎重に取り込んでフィニッシュ! 狙い通りの展開に高橋さん、田島船長の顔に笑みがこぼれました。
魚の気配があるなかで、その後も室戸沖の泳がせ釣りを楽しんだ高橋さんでしたが、風が強く、波も高くなるなかで納竿の時間を迎えました。
室戸沖は(フィッシングKAIでは)60kgオーバーのカンパチ、33~34kgのクエ、100kgオーバーのイシナギの実績がある魅力的なフィールドです。巨大魚とも安心して勝負ができるタックルを準備して、自己記録を更新する大物を狙ってみてはいかがでしょうか。
釣りぽYouTubeで公開中
高橋哲也さんの室戸沖での泳がせ釣りは【YouTube釣りぽチャンネル】で公開中です。迫力のファイトを御覧ください。