シマノからチヌフカセロッド【鱗海リミテッド(リンカイリミテッド)】が新登場。
最先端の素材と技術を惜しみなく投入したロッドは、まさに「リミテッド」の名にふさわしい仕上がり。開発に携わったシマノ磯アドバイザーの大知昭さんに詳しく解説してもらいました。
大知 昭(おおち あきら)/遠投釣法を駆使して競技でも数々の栄冠を勝ち取ってきたチヌフカセ釣りの名手。シマノ磯アドバイザー
目指したのは究極の1本
シマノから『鱗海リミテッド』が登場します。『鱗海』シリーズは、細身・軽量・高い操作性を持ちながら、魚が掛かると胴にしっかり重みが乗るチヌ調子が特徴で、リミテッドはそれらをすべて高次元でブラッシュアップしたものです。まさに究極のチヌフカセロッドといえるでしょう。
シマノ【鱗海シリーズ】の調子一覧
特徴1《より細身に仕上がったブランクス》
【鱗海リミテッド】のラインナップは「0」「06」「1」の3モデル。長さは3モデルとも530(5.3m)です。
下の画像を見てもらうとわかりますが【鱗海スペシャル】0号と【鱗海リミテッド】06号の竿身がほぼ同じ太さです。つまり、これまでよりワンランク細身の竿で、攻めのチヌ釣りができるということです。
竿を細身にするメリットは、自重が軽いので持ち重りを感じにくいこと。さらには集中力の継続にもつながります。フカセ釣りは竿を絶えず持ち続けるので、たった数グラム軽くなったり、細くなったりするだけで、疲労がかなり軽減されるんですよ。長い時間釣りに集中できることは、釣果にもつながります。
また、細い竿は操作性をよくしてくれます。風が吹いているときに竿身に抵抗がかかると重たく感じて操作性にも影響が出るのですが、細身のブランクスが抵抗を抑えてくれるので、風の中でも精度の高い釣りができます。
細身かつシャキッとした操作性に仕上がっているのは、カーボン素材がこれまで以上に軽量高弾性であり、「スパイラルXコア」を採用していることによります。くわえて「エックスガイド」(※2)が穂先から2番まで配置され、軽量化が図られています。これに「パラボラチューンR+」が合わさって「コアブランクス」となります。まさに高次元の竿。
正直「06号の竿をここまで細く強く作れるのか!?」と驚きました。
比較/ 下:【鱗海リミテッド】06号 上:【鱗海スペシャル】0号
鱗海リミテッド06号は鱗海スペシャル0号と比べても細いのがわかります。鱗海リミテッドは06号とは思えない細さですが、1号クラスのパワーを備えています
比較/ 下:【鱗海リミテッド】06号 上:【リンカイアートレータ】04号
鱗海リミテッド06号はリンカイアートレータ04号よりも細身。軽くて操作性に優れるので、より攻めの釣りができます。
特徴2《驚異的なパワー》
各号数とも細いのに驚異的なパワーを秘めています。【鱗海リミテッド】06号は【鱗海スペシャル】1号以上の強さと感じます。
50㎝を超えるチヌを掛けても、「真っ向勝負できる」感覚が得られます。
竿の強さは心強さに直結します。最近はチヌのフカセ釣りで大きなマダイがアタることもあるんですが、「チヌでもタイでもこい!」と思わせてくれます。そういう意味では【リンカイアートレータ】04号に近いものがあります。
ただし【アートレータ】の04号よりも【鱗海リミテッド】06号のほうがかなり細身で、より繊細に攻めの釣りができます。
【鱗海リミテッド】1号ならロクマルと十分対峙できるのではないでしょうか。今年はぜひ御荘湾で使ってみたいですね。
また、このパワーの強さは仕掛けをしっかり投げ込むときにも発揮されます。細身で軽い竿ですが、チヌ釣りでよく使われる20gくらいのウキを思い切り投げても、気持ちよく投入できます。
特徴3《ガイドセッティング&2個追加》
【鱗海リミテッド】は【鱗海スペシャル】よりもガイドが2個増えています。ガイドが増えるメリットは、竿が曲がったときにブランクスが持っているパワーを遺憾なく発揮できることです。
鱗海シリーズは胴調子が基本で、各モデルで調子の違いはあるものの、いずれも竿全体で魚を浮かせるような胴調子になっています。今回、ガイドが2個増えたことで、さらに竿の強さを感じさせてくれるものになりました。
一番手前のガイドは、(リールシートのある)5番(元竿)の先端に配置しています。これにより【鱗海スペシャル】と比べてリールとガイドの距離が短くなっています。これによってリールから最初のガイドの間で生じる糸フケが出にくくなって、ライントラブルが激減しました。
私はPEラインを使っているので、この仕様は非常にありがたいですね。
ガイドが増えるぶん、キャスト時のラインへの抵抗が増えて飛距離が落ちてしまうのでは?と気になりました。でも実際に使うとまったく問題を感じませんでした。
ガイドが増えたことでしっかり反発力を生み出せるからでしょうね。超遠投も可能にしてくれます。
特徴4 《ファイティングサポートグリップ》
『鱗海』シリーズで初めて採用された、シマノ独自のリアグリップです。ヒジに沿わせる部分がフラットなので、しっかりフィットします。このフィット感はかなり心地いいです。
また、滑りにくい表面処理が施されているので、どの角度からアワセを入れてもズレないし、ファイト時に竿の角度をさっと変えるのもよりスムーズです。まさにファイティングサポートですね。
仕掛けを流すときもヒジにフィットしているので、竿を腕の延長のように感じさせてくれます。また、仕掛けの操作も精度高く行えます。
特徴5 《カラーリング》
チヌの銀鱗をイメージしたシルバーが採用されています。シルバーは色味次第で印象がかなり変わります。使い方が難しい色ですが、この竿のシルバーは渋みと深みのある光沢で、光の当たり加減で絶妙な色合になります。高級感があり、持っているだけでもわくわくしてしまいますね。
釣具のカラーリングやデザインに魅力があると、所有する満足度も高くなります。これは精神面に大きく作用するので釣果にも関係してくると考えています。
「この竿で釣りたい!」と思わせてくれるわけです。とにかく持っていてうれしい、人に見てほしいと思える色とデザインです。
《スペック》
《0-530》
繊細でシビアな状況に。サシエをわずかに触れるかのようなアタリをさまたげない穂先の食い込み性能に加え、チヌ独特の首振りを抑制するブランクスの柔軟性は、掛けたチヌが玉網入れまで竿の存在に気付かないかのような鱗海調子の理想形。細ハリスによる繊細なアプローチにおいても高い能力を発揮。
《06-530》
鱗海調子独特の操作性と、チヌを暴れさせない調子を両立したモデル。持ち重り軽減を徹底的に追求した細身ブランクスにより1日を通した正確なロッドワークをサポート。曲げ込むほどに発揮するロッドの粘りが魚を暴れさせず流麗なやり取りを実現。
《1-530》
ロッドを曲げ切り大型チヌを素早く浮かせることが可能な攻撃的モデル。盤石のパワーとファイト時での安定感はトーナメントに代表されるスピーディーかつストイックに結果を求められるシーンやマダイ混じりの深場を攻める際などに活躍。
実釣 50cmを頭に寒チヌ2桁釣果
2022年1月7日、大知昭さんのホームグラウンド 広島湾の宮島で【鱗海リミテッド】を使って実釣を行いました。釣り場は東側にあるカキ殻の渚。
当日は凪で天候がよく、食い渋る寒チヌシーズンだったものの50㎝を頭に12匹のチヌを釣り上げる好釣果。
大知さんは【鱗海リミテッド】06‐530をめいっぱい曲げてチヌ釣りを楽しんでいました。
「仕掛けがピシッと投げられるし、とにかく軽い。これは0号で釣りしている感覚。それなのに魚を掛けるとすっと浮かせてくれる。その感覚は他の鱗海シリーズの1号。今日釣れたチヌは全部サイズがいいんだけど、やり取りの主導権を一度も渡さなかった。そのくらい余裕がある竿。今回使ったのは06号だけど、0号と1号も抜群の仕上がりですよ」
圧巻だったのは、50㎝のチヌを掛けたときに「思いっきり曲げ込むよ〜」と竿を大きくしならせると、沖でチヌがすんなり浮いたこと。
無理に沖で浮かせようとすると、チヌを怒らせて走り回られてしまうことも多いのですが、この日はすべてスムーズに浮いてきました。
「単に強いという表現とは違うのかもしれないね。曲がるのに余裕がある。まだまだデカいチヌも釣れると思わせてくれる。まさに究極なんじゃないかな?」
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