日本の三大怪魚のひとつ『アカメ』。全長1mを軽く超え、名前の通りルビーのように真紅に輝く目を持つその姿はまさに怪魚。生息地も高知県や宮崎県など西日本の太平洋側の一部に限定されるため、「幻の魚」とも呼ばれる。
そんなアカメを日中にエサ釣りで狙えるのが高知県須崎市の浦ノ内湾。2023年9月に浦ノ内湾でアカメ&チヌを釣った様子を紹介。
釣ったチヌをアカメが襲う
今回の釣行の2週間ほど前の2023年9月中旬に、浦ノ内湾の「幸丸」のカセ(釣り用に設置した小船)・筏にチヌを狙って釣行した時のこと。
短竿を使ったダンゴ釣り「かかり釣り」で20〜35cmほどのチヌが順調にヒット。
ところが、海底でヒットしたチヌを巻き上げてきていると、途中で急に重くなってリールが巻けなくなり、その後に強烈な走りで短竿を根本まで曲げられてラインを切られることが何度も! 上げているチヌを巨大な魚が横取りしているのです!?
この巨大魚の正体がアカメ!
浦ノ内湾のチヌ用筏やカセの下にはアカメが潜んでいて、ハリに掛かって上がってくるチヌやボラ、マダイを横取りしていくのです。アカメからすると、チヌ用筏・カセは楽にエサを食べられる場所となっているのでしょう。
時にはチヌを追って水面まで上がってきたアカメと目があうなんてことも! 浦ノ内湾はチヌを釣りながら幻の魚アカメも狙えるという、他にはない釣り場となっているのです。
最初はチヌ釣り(活エサの確保)
チヌをアカメに横取りされたのを見て、9月下旬に浦ノ内湾にアカメとチヌを狙って釣行。
お世話になったのは『幸丸』さん。筏とカセがあって、どちらも屋根やトイレ付き(浦ノ内湾の筏はほとんどが屋根・トイレ付き)。チヌはもちろんアカメ釣りにも力を入れていてアカメダービーも開催しています。
今回はカセを選択。釣行したのは釣りぽ編集部の私(MOTO)とテツの2人です。
渡船でカセに移動したら、まずはチヌのかかり釣りからスタート! アカメを狙うにしてもエサの生きた魚がいないと釣れないですからね。
かかり釣り(ダンゴ釣り)とは
かかり釣りはラインの先にハリを結んだシンプルな仕掛けで、マキエでツケエサのオキアミやコーンをダンゴ状に包んで投入する釣り方。ダンゴは海底までエサ取りからツケエサを守り、海底では割れてチヌを寄せる役目。
使う竿は繊細な穂先を持った筏用の1.3〜1.8mの短竿で、穂先の動きでチヌのアタリを捉えます。リールも筏用ですが、ルアー用のベイトリールも流用可能。
エサはダンゴ(マキエ)とサシエの2種類。
ダンゴは『ニュー赤だんごチヌ』と『激重ペレット』(マルキユー)を使用。集魚効果を上げるため『大物にこれだ!!』と『荒びきサナギ』も加えました。
サシエはオキアミ(生)と練りエサを用意。コーンやサナギ、モエビなどもよく使われます。
この日は海中のチヌやボラの活性が高く、釣り開始直後からアタリが連発。かかり釣りをあまりしていないテツも、順調にチヌやキビレ、ボラを釣り上げました。
釣れたチヌたちはスカリに入れてキープ。
結果的にチヌやキビレが30匹ほど釣れました。温かい時期の浦ノ内湾のチヌ釣りはとても楽しいですよ!
眼の前にアカメが登場
チヌ釣りを開始して30分ほどして、ふと水中を見ると大きな魚影を発見! アカメだ!
よく見ると、水面からほんの2mぐらい下にアカメが何匹もいるのがはっきりと! 大きいものは軽く120cmはありそう。小さいものでも90cm前後。
上から覗いても逃げることなく、悠然とカセの下をゆっくりと泳いでいました! 幻の魚をこんな間近に見られるだけでも凄いことです!
そして、この頃からチヌを釣り上げてくるとアカメに食われることが多くなりました(汗) 食われないように急いであげてきても、水面まで3mほどのところで「ガツン!」と食われ、「ギューン」とラインが走り、「プツン」と切られる……。
この状況なら生きたチヌをエサにすればすぐにアカメが釣れそう! アカメタックルをセットしてアカメ狙いスタート! ただ、そう簡単にはいかないのですが……。
アカメ釣りタックル
今回アカメ釣りで使ったのは大型魚狙いのルアータックル。リーダーの先に大型魚用の針を結んだシンプルな仕掛けです。
《今回のテツのタックル》
ロッド:エルホリゾンテ78(TULALA)
リール:スコーピオンMD(シマノ)
フック:タマンスペシャル 24号(がまかつ)、カット泳がせ(オーナーばり)など
●ラインについて
幸丸」さんのHPにアカメ狙いのラインについては、筏やカセのロープで切れて、アカメにラインが残ったままになることを防ぐため「PE8号以上、リーダーフロロカーボン100〜130lb」を使用とのお願いが掲載されています。
まずは私がキープしていたチヌを背掛けにして、アカメのいる場所に投入。
幻の魚アカメがヒット!
チヌがアカメの前に潜っていき、アカメもチヌに反応してチヌの方に向きを変えてチヌとアカメが接近。一発で食うかと思ったら……、アカメはチヌの前でストップ。
同じくアカメの前でストップしたチヌを見ていると思ったら、向きを変えてカセの下へ……。何度やっても同じ動きで、やがてチヌを落としても反応しなくなりました。
かかり釣りを続けているテツは、やはり何回かに1回はアカメにチヌを食べられているので、アカメ狙いのチヌを見切っているようです(汗)
こんなやり取りが目の間で見られるだけでも凄いのですが、釣れそうで釣れないのは悔しいもの(汗)
ただ、長く泳がせていても警戒するのか反応が悪くなるだけだったのでアカメ仕掛けは回収。
もう一度、2人でチヌを釣ってアカメの活性を上げて、いいタイミングを見計らってアカメ仕掛けを入れることに。
チヌを何匹も釣る→アカメの活性が上がる→アカメ仕掛けを入れる→見切られてアカメの活性が下がる→チヌを何匹も釣る→・・・を何度か繰り返した昼過ぎ。
チヌ仕掛けでアジが釣れたので、目先を変えてやろうとダメ元でアカメ仕掛けにアジを付けて投入。すると、、、勢いよく潜っていったアジをアカメが追ったと思ったら、フリーにしていたリールから一気にラインが出ていくアタリ!
アワセたと同時に、竿が大きく曲がりドラグが出ていく強烈な走り! 何もない沖に向かったので、少し走らせながらやり取り。
やがて海面に大きな魚体が浮いてきたと思うと、迫力のエラ洗い!
その後は急におとなしなったので、大型のネットで頭から取り込み成功!
海水をかけたシートの上に上げて計測すると101cm! 念願のメーターオーバーのアカメをキャッチできました。
海水をかけながら素早く撮影してリリースです。アカメはすぐに泳ぎ始めないこともあるので、元気になるまで海中で持っていようとしたら、すぐに力強く反転して私に水をかけながら海中に戻っていきました。
びしょ濡れになったけど、元気に戻ってくれて満足です(笑)
さらに大きなアカメがヒット
念願のメーターオーバーのアカメを釣って満足の私。アカメは満足したので、ここからはチヌ釣りに集中(チヌ釣りも好きなのです)。
一方のテツはアカメタックルを持って来ているのに、久しぶりのチヌ釣りが楽しいのかチヌ釣りに集中。アカメ釣りはやらないのかと思っていたら、納竿1時間前になって「アカメ狙ってもいいですか?」。
アカメを釣りたい私のためにチヌを釣ってアカメの活性を上げていてくれていたようです。
ここからはテツはアカメを狙い、私はチヌを釣ってアカメの活性を上げます。まだアカメを釣ったことのないテツには、ぜひアカメを掛けてもらいたいところ。
チヌやアジを何匹か釣ったところで仕掛けを投入。これを3回繰り返したところでラインが走りだしてテツにもアカメがヒット!
ロッド『エルホリゾンテ78』を大きく曲げながら、下に向かって走るアカメとやり取りするテツ。
やがて海面に浮かんできたアカメはさきほどのよりも一回り大きい! 無事にネットに取り込み成功。
アカメの力強い走りに、釣り上げた直後のテツはこの表情。でもものすごく嬉しかったそう。計測すると110cm! 軽くメーターをオーバーするアカメでした!
撮影後は海面でエラに海水を送って元気になったところでリリース。
メーターオーバーのアカメを2匹釣り上げることができ、チヌ釣りもよく釣れて楽しい浦ノ内湾釣行でした。
お世話になった幸丸さん、ありがとうございました。
アカメ釣りの注意点
浦ノ内湾の筏やカセでアカメ釣りをする時、真夏は筏やカセの上も熱くなっていることがあります。アカメは海水を撒いて冷やしてから上げるようにしましょう。
シートがあれば、シートに乗せたままアカメを持ち上げてリリースできるので便利です(シートを使う時も海水を掛けて冷やしてください)。
利用渡船/幸丸(高知県須崎市塩間)
筏やカセからチヌやアカメが狙える。高知県唯一の海上釣堀もあります。