質問:アオリイカの思考について
アオリイカが何を考えてるのか知りたいです。
(908Kenji〈広島県東広島市〉)
回答:食べること、安全を確保すること、子孫を残すことでしょうか。
回答者:編集部
アオリイカは生物ですから、子孫を残すことが大きな役割になると思われます。アオリイカの世界を人類に当てはめると、狩猟採集社会となるのでしょうか。いや、それよりもさらに厳しい、食うか食われるかの恐ろしい世界といったほうがよさそうです。孵化したばかりのアオリイカは無力ですから、安全な場所に身を隠しつつエサを捕食することに明け暮れます。
そうやって成長していく過程で、外敵に食べられてしまったり、エギに興味を示したばかりに釣り上げられたりする個体もいることでしょう。初めて見た物や見慣れない物に対しては好奇心や警戒心を抱き、おいしそうなエサに対しては興味を示し、どうやって捕食しようかと考えていることでしょう。時には潮に乗って、「ほけーっ」とリラックスする時間があるかもしれません。やがて異性に興味を持って、どうやって仲良くなろうかと思案を巡らし、晴れてカップルになれば産卵をおこなって一生を終えます。
アオリイカは年魚と呼ばれて寿命は1年です。基本的には、
・エサを食べる
・外敵から身を守る(安全な場所で休む、あるいは寝る)
・子孫を残す
そういったことを滞りなくおこなうための方法を、日々考えているのではないでしょうか。
もしかしたら仲間同士で、「昨日は夕マズメに岬のほうでアジの回遊があったで~。けっこういいサイズ! 今日も行ってみる?」とか、「あの岸壁には変な動きをするエサみたいなものが時々いるけど(エギのこと)、この前うちの若いもんがちょっかい出してたら、引っ張られて行方不明になったんよ。危ね~からあの変なヤツには近寄らんほうがええよ」とか、「バカでかい生き物がやってきたで(スナメリ)。みんな隠れろ!」とか、意思疎通をしているかもしれませんね。
それにしても、1年の生涯とはなんと短いのでしょう。人が誕生してからこの世に別れを告げるまでに1年しかないとしたら、あれこれと考えている余裕はなさそうです。アオリイカは本能のおもむくままに、凝縮した人生(イカ生)を送っていることでしょう。