リールの「巻上長」 実際に使う時はカタログの『最大巻上長』とどのくらい差があるの? ジッケンショー

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編集部スタッフが、釣りにまつわる疑問を「実験(ジッケン)&検証(ケンショウ)」する『ジッケンショー』。

今回のテーマは、

【リールのハンドルを1回転した時の巻上長。カタログの「最大巻上長」は実際に使う時の「巻上長」は違う? キャストすると「巻上長」は減少するの?】

 

リールを購入する時に重要視するのは、釣り人によってラインキャパやドラグ値、ギア比(リールのハンドル1回転につき、スプールやローターが何回転するのかを表すもの)、価格などそれぞれ。

そんな要素のひとつがラインの【巻上長】。ハンドル1回転でラインをどれだけ巻き取れるかは、ギア比とも密接に関わっていて、釣果にも直結する重要なポイント。ただ、ここで疑問に思うことがひとつ。

メーカーのカタログに記載されているラインの最大巻上長は、「スプール最大外径×円周率×ギア比」から算出した計算値でスプールにめいっぱいラインを巻いたときの数値。実釣で使う時は、ギリギリまでラインを巻くとトラブルが増えるので少し減らして巻くし、ルアーや仕掛けをキャストしたらスプールのラインはもっと減る。

そんな時、巻上長って減少するのかな? 最大巻上長とどのくらい差がでるのかな?

わからないことは検証です! 

◇検証したのは編集部の「りょーた」と「テツ」の2人。

検証に使ったリール 

この4台のリールを使って下記の項目を調べてみました。

左上から時計回りに『ストラディック 4000MHG(シマノ)』、『クロスキャスト 4000QD(ダイワ)』、『スコーピオンMD 301XGLH(シマノ)』、『13セルテート 2004CH(ダイワ)』

① 実釣を想定した糸巻き量(スプールエッジから約0.5mm)のときの巻上長(ハンドル1回転)

② ①からラインを50m引き出したときの巻上長

③ ①からラインを100m引き出したときの巻上長※『13セルテート 2004CH』のみ、②は20m、③ は40m。

ハンドル1回転の巻上長は、巻きはじめと巻き終わりにマジックでラインにマーキングし、定規でその長さを計測しました。

ただ、ラインテンションの違いや伸び、マーキング時のズレなどにより、正確な測定は困難を極めました。そのため、あくまでも参考数値としてご覧いただければと思います

検証『スコーピオンMD 301XGLH』

《スペック》最大巻上長/107cm・ギア比/7.9 

○使用ライン/PE3号

豊富なラインキャパと強いドラグ、すばやい巻き取りスピードを有し、青物やアカメ、海外のモンスターフィッシュとも渡り合えるストロングベイトリール

□実釣を想定した糸巻き量はこれぐらいです。

□ラインを100m引き出したときのスプール。上と比べてスプールが痩せているのが一目瞭然! 使用するラインが太いと、そのぶんスプールが痩せやすくなります。

検証結果『スコーピオンMD 301XGLH』

 
1回目 97cm 89cm 79cm
2回目 96.5cm 92cm 79.5cm
3回目 97.5cm 91cm 78cm
平均値 97cm 90.6cm 78.8cm

カタログの数値では最大巻上長107cmを誇るエキストラハイギアモデルのリールですが、通常使用時の①ではガクンと減って97cm、50m出た状態②では約90cm、100m出した③になると約79cmにまで巻上長が減少しました。この違いはかなり大きいですね

検証『クロスキャスト 4000QD』

《スペック》最大巻上長/82cm・ギア比/4.1

□使用ライン/ナイロン4号

大型のスピニングリールで、カゴ釣りや投げ釣りで活躍するモデル

□実釣を想定した糸巻き量。太いナイロンラインということで、ライントラブル防止のために糸巻き量を若干少なくしています。

□ラインを100m引き出したとき。スプール径とスプール幅(高さ)が大きいためベイトリールほどの痩せはありません

検証結果『クロスキャスト4000QD』

 
1回目 80cm 77cm 75cm
2回目 80.5cm 78cm 74cm
3回目 79cm 77.5cm 76cm
平均値 79.8cm 77.5cm 75cm

ラインが太いため、巻上長に大きな差が生まれるかと思いきや、『スコーピオンMD』と比べると①~③で大きな差はなし。スプール径が大きいのに加えてスプール幅(高さ)があるためだと思われます。

検証『ストラディック 4000MHG』

《スペック》最大巻上長/95cm・ギア比/5.8

□使用ライン/PEライン 1.5号

4000番のハイギアリールはシーバスをはじめ、フラットフィッシュ狙いやライトショアジギングで使いやすいモデル

□実釣を想定した糸巻き量(AR-Cスプール下部のエッジのギリギリまでラインを巻いたもの)

□ラインを100m引き出したときのスプール。明らかにスプールが痩せているのが分かります。

検証結果『ストラディック 4000MHG』

 
1回目 84.5cm 84cm 81cm
2回目 85.5cm 83.5cm 81.5cm
3回目 86cm 83cm 80cm
平均値 85.3cm 83.5cm 80.8cm

くびれのある「AR-Cスプール」搭載モデルのため、①の時点で巻上長が少なくなっているのが分かります。ラインの放出量が多くなるにつれ、巻上長は微減していました。

検証『13セルテート 2004CH』

《スペック》最大巻上長/75cm・ギア比/5.6

□使用ライン/PEライン 0.4号

2000番クラスはメバルやアジといったライトゲームのベストサイズ。ハイギアはボトムワインドやプラグなどのアクションを多用するスタイルにマッチする。

□実釣を想定した糸巻き量

□ラインを40m引き出したときのスプール。ラインが極細のため、スプール痩せはほとんど見られません。

検証結果『13セルテート 2004CH』

  ②※ ③※
1回目 70.5cm 69cm 68.5cm
2回目 71.5cm 68cm 68.5cm
3回目 70cm 69cm 68cm
平均値 70.6cm 68.6cm 68.3cm

※②=20m、③=40m出したデータ

①の時点で巻上長はガクンと下がったものの、②と③では微減となりました。ラインが細く、スプールが痩せなかったからだと思われます

検証結果 まとめ

実釣を想定した糸巻き量のとき、すべてのリールでカタログに記載されている最大巻上長よりも巻上長が減少しました(当たり前ですが……)。

また、スピニングリール、ベイトリールともにラインの放出量が多くなればなるほど巻上長は少なくなり、スプール幅が広くラインが細ければ減少しにくく、逆にスプール幅が狭くラインが太ければ減少しやすいことも分かりました。最大巻上長はあくまで参考値として考え、機種別の比較のための数値として捉えたいですね(実際、メーカーのカタログやホームページにもそのような旨のことが記されていました)。

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